【皐月賞 AI予想】あとはオッズ次第!? AIが推奨する実績馬の信頼度をチェック

2024年04月08日(月) 18:00 27

単勝オッズ4.3倍(2番人気)のステレンボッシュが勝利(c)netkeiba

netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。

(文・構成=伊吹雅也)

単勝二桁人気クラスの人気薄が激走した例はほとんどない

AIマスターM(以下、M) 先週は桜花賞が行われ、単勝オッズ4.3倍(2番人気)のステレンボッシュが優勝を果たしました。

伊吹 陣営はもちろん、鞍上のJ.モレイラ騎手にとっても会心の勝利だったのではないでしょうか。スタート直後はそれほどダッシュがつかず、道中は中団馬群の中を追走。しかし、4コーナーでスムーズに外めへ持ち出し、ゴール前の直線に入ったところで難なく進路を確保しています。そこから力強く伸びて、先行集団から抜け出したエトヴプレ(5着)を残り200m地点のあたりでかわし、単独先頭に。その後も脚色は衰えず、ゴール前で迫ったアスコリピチェーノ(2着)、ライトバック(3着)、スウィープフィート(4着)らに対してセーフティリードを保ったまま入線しました。

 4コーナーですぐ隣を走っていたアスコリピチェーノと軽く接触したように見えましたが、結果的にこのタイミングで広げた差をゴールまでキープしたわけですし、ここが最大のポイントだったのかも。ただ、その後の手応えに大きな差はなかったので、たとえ両馬が今回と異なるポジションでレースを進めていたとしても、最終的な着順は同じだったかもしれません。テン乗りで最適解のエスコートをしたJ.モレイラ騎手も、それがなくても勝てていたのではと感じさせるパフォーマンスを見せたステレンボッシュも、本当に素晴らしかったですね。

M ステレンボッシュはGI初制覇。前走の阪神JFは勝ったアスコリピチェーノにクビ差及ばず2着どまりでしたが、見事に雪辱を果たしました。

伊吹 阪神JFの上がり3ハロンタイムは33秒5で、2位のアスコリピチェーノ(33秒7)を上回る単独トップ。最後の最後で同じ脚色になってしまったものの、アスコリピチェーノと同等以上に高く評価できる内容だったと思います。前回もお話しした通り、近年の桜花賞は右回り、かつ今回と同じ距離の重賞で好走したことのある馬が優勢。概ね順当な決着だったと言って良いでしょう。

M 今後はオークスを目標に調整されるようです。

伊吹 母のブルークランズは現役時代に芝2000m前後のレースを主戦場としていた馬。父はエピファネイアですし、1マイルくらいの距離しかこなせないタイプとは思えません。赤松賞を勝った実績がある馬なので、東京替わりもまったく問題ないはず。配当的な妙味は期待できませんが、相応に高く評価するべきだと思います。

M 今週の日曜中山メインレースは、3歳牡馬クラシック競走の第一関門、皐月賞。昨年は単勝オッズ5.2倍(2番人気)のソールオリエンスが優勝を果たしました。なお、その2023年は単勝オッズ9.0倍(5番人気)のタスティエーラが2着、単勝オッズ3.8倍(1番人気)のファントムシーフが3着となり、3連単の配当は2万4780円。今年も堅めの決着をイメージしておいた方が良いのでしょうか?

伊吹 2017年に3連単106万4360円、2018年にも3連単37万2080円の高額配当が飛び出したものの、2019年以降のここ5年に限ると3連単の配当は平均値が3万4128円、中央値が2万6310円。少なくとも、荒れやすいレースとは言えませんね。

M 過去10年の3着以内馬30頭中、単勝3番人気以内の支持を集めていた馬は半数の15頭。低評価を覆して上位に食い込んだ馬もそれなりにいますが……。

伊吹 より実態に即した区切り方をすると、単勝4~9番人気の馬は2014年以降[4-5-5-46](3着内率23.3%)、単勝10番人気以下の馬は2014年以降[0-0-1-82](3着内率1.2%)となっていました。超人気薄の伏兵が馬券に絡む可能性は低いと見て良さそう。目一杯に手を広げるような買い方は慎むべきでしょう。

M そんな皐月賞でAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、メイショウタバルです。

伊吹 ちょうど良いレベルの支持が集まりそうな馬を挙げてきましたね。上位人気グループの一角を占めることになると思いますが、単勝1番人気ということはなさそう。

M メイショウタバルの前走、毎日杯は2着馬に6馬身差をつける圧勝。デビュー3戦目の未勝利から3連勝でこのレースに臨みます。それなりに注目を集めているものの、今回は昨年末のホープフルSや皐月賞トライアルで上位に食い込んだ馬たちが相手ですし、意外と妙味あるオッズがつくかもしれません。

伊吹 重視するにしても軽視するにしても、買い目作りのポイントとなりそうな一頭ですね。Aiエスケープが有力視しているという事実を踏まえたうえで、私はレースの傾向からこの馬の好走確率を見積もっていきたいと思います。

M 最大のポイントはどのあたりでしょうか?

伊吹 近年の皐月賞は、前走を完勝している馬が中心。2020年以降の3着以内馬12頭中9頭は、前走の着順が1着、かつ前走の2位入線馬とのタイム差が0.2秒以上でした。

M これはわかりやすい。前走で2着以下に敗れてしまった馬はもちろん、前走が辛勝だった馬も強調できませんね。

伊吹 なお、前走の着順が2着以下、もしくは前走の2位入線馬とのタイム差が0.1秒以下だったにもかかわらず3着以内となった3頭は、いずれも朝日杯FSにおいて9着以内となった実績があった馬。昨年末の大舞台でそれなりに健闘していた馬はともかく、そうでない馬に関しては直近のパフォーマンスを素直に評価するべきだと思います。

M 先程も触れた通り、メイショウタバルは前走の毎日杯で2位入線馬に1.0秒のタイム差をつけている馬。圧勝した直後である点は強調材料のひとつと言えそうです。

伊吹 あとは血統もチェックしておきたいところ。同じく2020年以降に限ると、キングカメハメハ系種牡馬やディープインパクト系種牡馬の産駒は期待を裏切りがちでした。

M こちらは少々意外な傾向。いずれもメジャーな父系ですが、あまり信頼しない方が良いのでしょうか。

伊吹 該当馬の数が多いので、またそのうち馬券に絡む産駒も出てくると思うのですが、これだけ苦戦が続いているわけですし、当面は疑ってかかるべきだと思います。

M メイショウタバルの父はゴールドシップ。この両父系に属する種牡馬ではありません。

伊吹 さらに、同じく2020年以降の3着以内馬12頭は、いずれも“東京・中山の、重賞のレース”において“着順が2着以内、かつ4コーナー通過順が2番手以下”となった経験のある馬でした。

M 重賞で連対したことのない馬はもちろん、関西圏やローカル場の重賞でしか連対したことのない馬も、割り引きが必要ですね。

伊吹 余談ながら、出走数が5戦以上の馬も2020年以降[0-0-0-22](3着内率0.0%)と3着以内なし。4戦以内のキャリアで出走権の獲得に至った馬を重視するべきレースと言えます。

M メイショウタバルはキャリア5戦ですし、その5戦がすべて関西圏のレースだった馬。残念ながら、これらの条件はクリアできていません。

伊吹 正直なところ、私は基本的に過信禁物だろうと考えていました。ただ、前走の内容自体は素晴らしかったと思いますし、Aiエスケープが注目馬に挙げてきたくらいですから、過大評価と言わざるを得ないような支持が集まる可能性は案外低そう。実際のオッズも鑑みたうえで、買い目上の位置付けをじっくり検討するつもりです。

netkeibaアプリで続きを読む

このまま続きを読む

バックナンバーを見る

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

伊吹雅也

競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

関連情報

新着コラム

コラムを探す