2024年06月08日(土) 12:00
ここで賞金を加算して秋につなげたいという馬たちの多いエプソムCは、中心馬の見つけにくい一戦だ。と言っても、極端に荒れまくるという訳ではなく、つかみどころの見つけにくいレースになっている。
こういう場面では、「格よりも勢いのあるもの」とよく言われるが、だからと言って、前走で3勝クラスを勝った直後で初重賞挑戦の馬の成績がいいかと言うと、そうでもない。
この10年、このケースでエプソムCに出走した馬は6年あって全部で13頭。成績は、1勝3着2回だけ。勝ったのは2年前の4歳馬ノースブリッジで、前走は2月20日の同じ東京の2000米だった。
粗削りな面があってムズカシイ気性の馬だったが、3歳時にGIII戦で3着に入ったことがあり、ここで格負けする馬ではなく、エプソムCでは4番人気だった。
前走オープン入りを決めてから3ヶ月間休養しひと息入れて成長を促したのが良く、レースでは3番手で我慢させて脚をためて、直線残り300米でパワフルに加速して先頭に立ち、初重賞制覇となっていた。スクリーンヒーローの血を継ぐモーリスが父という血統も、この勝因と考えていいだろう。
ノースブリッジの年は全部で3頭がオープン入り初戦のレースだったが、他の年は全て2頭だけ。今年は4頭が、前走3勝クラスを勝って初めての重賞というのだから、非常に珍しいケースと言っていい。どこまで重賞の壁に立ち向かえるかと言うことだろう。
もう一点エプソムCを考えるときに必要なのが、コースが東京の1800米ということだろう。最後の1ハロンが12秒台に落ち込むことが多く、それだけスタミナ比べの地力勝負になっている。それに適した馬となれば、これまで重賞で、勝てなくとも上位の実績があるものが結果を出すというのも分かる。
それから最後に、馬齢から成績を見ると、4歳馬が10年で5勝2着5回3着4回、5歳馬が4勝2着2回3着2回、6歳が1勝2着3回3着3回、7歳は3着が1回あるだけと、若い馬ほど上位を占める可能性はある。
こうしたことを総合して今年のエプソムCをイメージすると、アルナシームにまず目が止まる。GI朝日杯FS4着馬だが、対戦したのがドウデュース、セリフォス、ダノンスコーピオンなどだから、強い相手と戦ったキャリアは大きい。
1800米で4勝していて距離はベター。ここ2走は速い上がりをマークして、横山典騎手とのコンビが心強い。モーリス産駒の良さが発揮されれば面白い。
コース適性という点では、レーベンスティールだ。ここ2走の敗戦にはそれなりの理由があったので、昨年セントライト記念を勝った実績から本領発揮すれば、ここをあっさりクリアーする可能性は高いとみたい。何しろ4歳馬というのが魅力だ。そして、長い直線を味方にハマッたときの牝馬ルージュリナージュの末脚が逆転候補としておく。
「ここで勝ち 秋の出番を 確実に」
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
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