2024年06月23日(日) 18:00
2番人気と8番人気を推奨した理由とは…
『ウマい馬券』で活躍するプロ予想家たちが、会心の的中を振り返る「予想の頭脳」。今回取りあげるのは、京王杯スプリングCを的中させた「ミニ馬リスト」氏。波乱となった一戦を、どのようなアプローチで攻略したのか……。本人自ら綴っていただきました!
昨年の6月よりnetkeiba公認プロ予想家として活動させていただいているミニ馬リストと申します。
「ミニ馬リスト」氏
5月11日に行われた重賞の京王杯スプリングCの的中に伴いまして、本コラムへの掲載のご依頼をいただきましたので、的中に至るまでの予想のプロセスを解説していきたいと思います。
このレースはGIIとしてはメンバーレベルが手薄な印象で、複数の上位人気馬には何かしらの明確な不安要素がありました。
1番人気のウインマーベルは内枠から先行できたときの好走率が高く、発馬にも不安があるので高い信頼の置ける馬ではないという判断。とはいえ実績は文句なしの上位であり、前走の高松宮記念の大敗には出負けや馬場などの明確な敗因があったので、スムーズな競馬ができれば勝ち負けに加わってくるとは思っていました。
実力は認めつつも危うさがあるので、出馬表でこの馬の名前を見た段階で買い目は点数を絞ったワイドとすることに決めました。
3番人気のトウシンマカオは、7ハロン戦では明らかにパフォーマンスを落としています。距離延長への不安が拭えず、左回りも歓迎できる材料ではないと判断しました。
5番人気のソーヴァリアントについては、マイルですら距離不足を露呈していたにもかかわらず、さらに距離短縮というのはどう考えてもマイナス要素だと感じました。気性の問題もあるのでしょうが、本質的には中距離の小回りでこそ持ち味が生きるタイプのはずなので、今回の舞台は完全に適性外だと判断しました。
以上の見立てから、この3頭のうち好走可能なのはウインマーベルのみと考えました。それなら昇級組の人気薄にもチャンスがあると思いましたが、軸はレッドモンレーヴ以外に考えられませんでした。
推奨理由としては主に以下の3点が挙げられます。
1. 瞬発力があまりに非凡であること
昨年の覇者であり、その時の瞬発力を私は数字以上に評価していました。流れはオープンとしては稀に見るほどの超スローペースで極限に近い瞬発力勝負となりました。
2着のウインマーベルにつけた着差は半馬身でしたが、2着から12着までの着差が全てクビ差の大接戦だったことを考えると、半馬身差というのは他との違いを見せつけた決定的な差だと言えます。
煽り気味のスタートで後方からの競馬を強いられたうえに、直線ではどの馬よりも大外を回す距離ロスがあったことからもこの馬の強さが際立ちました。
2. 舞台適性の高さ
東京コースでは距離を問わずに一度も大崩れしておらず、昨年の安田記念では豪華メンバーを相手に6着と健闘しています。
秋初戦だった次走の富士Sではいかにも大型馬の休み明けといった状態に見えましたが、メンバー中唯一58kgの斤量を背負いながらも一線級マイラーのナミュールを相手にしぶとく食い下がりました。
本質的にマイルは若干長いと思っているので、実績のある7ハロン戦に戻れば余程のアクシデントがない限り崩れることはないと予想しました。近走の内容から出負けは想定の範囲内でした。
3. 昨年とのメンバーレベルの比較と馬の状態
昨年との比較ではメンバーレベルがほぼ同じで、この馬自身は調教の動きからは衰えは一切感じられませんでした。むしろ5歳を迎えて成長しているという印象で、昨年との違いがあるとすれば斤量が1キロ増える点くらいしか見当たりませんでした。
以上のことから軸として全幅の信頼を置くことができました。そして、8番人気の低評価ながら3着に好走したスズハロームについてですが、こちらの推奨理由についても主に以下の3点が挙げられます。
1. 血統背景から見える高い舞台適性
母のアイラインは牝馬でありながら6歳の暮れまでオープンで好走を続けた活躍馬です。特に東京の7ハロン戦に良績が集中しており、この馬自身も昨夏に中京の1勝クラスではありますがワンサイドの圧勝を見せています。
この時の馬場コンディションは稍重でしたが、時計の出やすいいわゆる高速馬場。すでにこの時点で高速馬場への高い適性を示していました。やや奥手の血統であることを考えると、4歳を迎えてさらに時計を詰めることは可能だとも思いました。
2. 陣営の馬体減対策
2走前に大敗を喫していますが、この時は輸送で体を大きく減らしていました。その時の教訓から今回は1週前に美浦へ入り、レース当日に輸送をするという対策を講じてきました。牡馬としては小柄なのでこの効果は大きかったはずです。
3. 近走の内容が着順以上に濃い
秋初戦の5走前こそ凡走しましたが、次戦では外回りに替わって強烈な決め手を披露しています。決して馬場や展開が味方したわけではなかったので、改めて7ハロンへの適性の高さを示すとともに、溜めれば非凡な瞬発力を発揮できることも判明した収穫十分の内容でした。
3勝クラスに上がった次戦は距離延長でメンバーレベルもまずまず高いという楽ではない条件。完全な前残りの展開でしたが、道中で脚を使いながらも2着馬とは僅差の3着まで追い込んできました。
敗れはしましたが、非凡な素質があることを示すには十分な内容。休養を挟んだ次走は輸送で体が減っていたので参考外と見ていいレースです。
立て直しを図った前走は馬体がまだ戻りきっておらず、舞台もこれまで結果の出ていない内回り。楽な競馬にはならないと思っていましたが、展開が向いたとはいえ大外から長く良い脚を使っての差し切り勝ち。着差こそ僅差でしたが、このレースでは優れた持久力も兼ね備えていることを示しました。
2着に下したブリュットミレジメは個人的には能力を高く評価しており、同舞台の阪神Cや阪急杯なら面白い存在となるのではないかと期待している馬です。
その馬を破ってのオープン入りなら重賞でも見劣りしないという結論になりました。結果は最後方から猛然と追い込んできたレッドモンレーヴがスムーズなレース運びをしたウインマーベルをとらえ切れず2着に惜敗。
スズハロームは前の2頭とは力の差を感じさせる離れた3着でした。このレースを予想する上でのポイントはウインマーベルの存在でした。前述した内容と重複しますが、今回の手薄なメンバーなら出遅れずスムーズな競馬さえできれば勝ち負けできる能力があるのは明白でした。
しかし、出遅れや行き脚がつかなかった場合は凡走する危険が高い馬なので、非常に危険な1番人気であると判断しました。
レッドモンレーヴにはかなりの自信があったので馬連の軸としたいところでしたが、配当面を考慮してもあてにならないウインマーベルがいる以上はワイドが最適という結論になりました。
ワイドという馬券は少し予想がずれても的中可能なシンプルかつ奥の深い馬券だと思っています。点数を絞りつつ資金配分を工夫すれば3連単にも劣らないリターンが期待できます。2点買いなら両獲りも狙えますので、個人的には競馬歴に関係なくオススメの馬券です。
重賞レースの予想には自信を持っておりますので、今後ともぜひご参考いただけますと幸いです。
(ミニ馬リスト)
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なぜあの馬に印を打てたのか。会心の勝利を収めたプロ予想家が、自身の的中を元にレースを振り返る予想力向上コラム。 関連サイト:ウマい馬券
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