モーリス×ディープで4頭目の重賞馬 ニックス配合と母の良血が開花したアルナシーム

2024年07月22日(月) 18:00

血統で振り返る中京記念

【Pick Up】アルナシーム:1着

 母ジュベルアリは、アルアイン(皐月賞、大阪杯)、シャフリヤール(日本ダービー、ドバイシーマクラシック)の全姉にあたる超良血。1歳時にサンデーサラブレッドクラブの募集ラインナップに入ったものの、故障により取り下げとなりました。

 しかし、その良血は母となって威力を発揮し、アルナシームを産みました。その半妹で2歳のポートデラメール(父ナダル)は6月9日の京都新馬戦(芝1200m)を快勝しています。

 2代母ドバイマジェスティはBCフィリー&メアスプリント(米G1・ダ7ハロン)の勝ち馬で、子だけでなく孫の代からも重賞勝ち馬を出したことで、その信頼性は一層高まりました。

 本馬は「モーリス×ディープインパクト」。この組み合わせの重賞勝ち馬は、ジェラルディーナ(エリザベス女王杯、オールカマー)、ディヴィーナ(府中牝馬S)、ルークズネスト(ファルコンS)に次いで4頭目です。日曜小倉の九州スポーツ杯(2勝クラス・芝1200m)を勝ったミルテンベルクもこの組み合わせで、同馬は2歳時に小倉2歳S(GIII)で2着となっています。連対率20.7%、1走あたりの賞金額254万円は、モーリス産駒全体の18.3%、197万円をそれぞれ上回っており、モーリス産駒のニックスといえるでしょう。

血統で振り返るしらかばS

【Pick Up】ゾンニッヒ:1着

 母エンドレスノットは、マカヒキ(日本ダービー、ニエル賞)、ウリウリ(京都牝馬S、CBC賞)、ウーリリ(毎日杯-2着)の全姉にあたる超良血。本馬は母の初仔で、すでにダービー卿CT(GIII)で3着という成績があります。

 父ラブリーデイは天皇賞(秋)(GI)、宝塚記念(GI)の勝ち馬。種牡馬としてはグリューネグリーン(京都2歳S)のほかに、障害界のスター候補セブンデイズ(中山新春ジャンプS)などを出しています。

 ゾンニッヒと100%同血のジャカランダレーン(父が同じで母ウリウリはエンドレスノットの全妹)は、芝短距離で3勝クラスまで出世しており、札幌芝コースは[1-1-0-0]。ゾンニッヒは、今回の勝利以外に函館の青函S(OP)を勝った経験があり、洋芝は得意な血統といえるでしょう。

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【フジキセキ】

 サンデーサイレンスの初年度産駒。朝日杯3歳S(現朝日杯FS)、弥生賞を含めて4戦全勝の成績を残し、初年度のなかでは最良の産駒と目されていましたが、皐月賞を前にして屈腱炎を発症、無念の引退となりました。この馬には及ばないと見られていた同じサンデー産駒のジェニュインが皐月賞を、タヤスツヨシが日本ダービーを勝っており、無事ならば大きなタイトルを獲っていたはずです。

 3歳春に早くも種牡馬となり、16シーズンの種付けを行い、JRAの平地競走で36頭の重賞勝ち馬が誕生しました。種付け生活の前半は、偉大な父の活動期間と被っていたため、大物が出て来づらい環境でしたが、父の産駒と競合しなくなった後半になると大物が出るようになりました。

 アメリカ血統で構成された2代母マーストンズミルの影響か、サンデーサイレンスの後継種牡馬のなかでは珍しくスプリント戦やダート戦での活躍が目立ち、前者のカテゴリーからはキンシャサノキセキ、ファイングレイン、ストレイトガールが、後者からはカネヒキリ、グレイスティアラ、ミラクルレジェンドが出ています。

 後継種牡馬のカネヒキリ、キンシャサノキセキ、ダノンシャンティ、イスラボニータ、ダイタクリーヴァはJRAで重賞勝ち馬を出しています。

血統に関する疑問にズバリ回答!

「新潟芝1000mに強い種牡馬は? 」

 2014年以降、当コースで産駒が15走以上した現役種牡馬のなかで、連対率上位は、1位ジャスタウェイ、2位ファインニードル、3位アジアエクスプレス、4位ビッグアーサー、5位マクフィ。

 ダート向きの種牡馬が頑張る条件でもあります。ダート血統は、切れ味には欠けるもののスピードの持続力があります。そうした特性が活きるのが新潟芝1000mです。

 ちなみに、アイビスSDは創設以来、サンデーサイレンス系の優勝馬が出ていません。ダート向きのバトルプラン、ヨハネスブルグ、メイショウボーラー、アフリート、スウェプトオーヴァーボード、サウスヴィグラスといった種牡馬の仔が連対を果たしています。

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栗山求

netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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