【#63】「私の努力は報われない」激高する夫と進まないリハビリに鬼嫁が感じた“虚しさ”

アプリ限定 2024年08月19日(月) 18:01

障害ジョッキーの白浜雄造騎手の奥様が、一昨年の夏の落馬から復帰を目指して奮闘する夫と家族のリアルな姿を描く連載コラム。

雄造騎手が子どもたちのために将来を見据えていることを聞き、一切の声掛けを控える決断をした由紀子さん。しかし、自主リハビリは進まず部屋に籠る生活が続きます。

互いの気持ちがすれ違う中、夫の態度は変わらず、ついには激高を繰り返す事態に。復帰のために試行錯誤してきた鬼嫁が、「さすがに無力感と虚しさを感じた」出来事とは──。

「こんなものいらない! リハビリもしなくても大丈夫だから!」

 夫に私から声掛けをしないことに決めた初日。

 夫はこれまでと変わらず、療法士の先生によるリハビリの時間以外は自室に籠っていました。まだ初日──明日以降は何か変わるかもしれないと期待し、私は状況が変わるのを待ちました。

 2日、3日、4日、5日…。何日経っても自室に籠ったままの夫。しばらく見守っていたのですが、好転しない事態に耐えかねた私は、10日ほど経った頃、トイレに行くために部屋から出てきた夫に、「少しずつでもいいと思う。自主リハビリに取り組んでみたら?」と、できるだけ優しく、その一言だけ声を掛けてみました。めちゃくちゃイライラする気持ちを抑えて…(笑)。

 すると夫は、「うるさい! 治るから!」と激高し、扉をピシャリと閉めて自室に戻っていってしまいました。「治る!」と言い切った夫を見て、現状理解がまったくできていない様子にうんざりしました。

 この頃の夫は骨折などのケガはすでに治癒し、残っているのは脳を損傷したことによる後遺症。ケガであれば、医師の治療を受けることである程度までは自然に治癒しますが、後遺症となると、医師や療法士の力を借りて自分の力で克服しなければなりません。

 そんななか、夫は現状理解ができていないため、自主リハビリの重要性を理解していない。そう思った私は、自主リハビリをしなければならないということを理解してもらうため、簡単なプリントを作り、聴覚からだけではなく視覚情報からも訴えかけてみることにしました。

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白浜由紀子

1981年9月9日生まれ。2015年に障害騎手の白浜雄造と結婚。1男1女をもうける。結婚前は四位洋文調教師や福永祐一調教師(両名、当時騎手)らが所属していたマネージメント会社にてマネージャーを務め、TV番組収録やイベント等、様々な現場で騎手をサポート。福永調教師の引退までの16年間はバレット業務も兼任。福永厩舎開業後は経理兼秘書業務を担当予定。現在はオンラインサロン「福永祐一 競走馬研究所」の運営スタッフを務める傍らフリーランスとして活動中。新たな目標のアイシングクッキー講師としても活動すべく準備中。(旧姓は坪田、また戸籍上の表記は幸子)

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