シティオブトロイがインターナショナルS制覇 オブライエン厩舎の勢いは秋も止まらず

2024年08月28日(水) 12:00

“スター候補”今後のスケジュールは?

 ヨーク・イボア開催初日のG1インターナショナルS(芝10F56y)をシティオブトロイ(牡3、父ジャスティファイ)で制したのに続き、2日目のG1ヨークシャーオークス(芝11F188F)もコンテント(牝3、父ガリレオ)で制覇。勢いが止まらないのがエイダン・オブライエン厩舎だ。

 イボア開催が終了した段階で、同厩舎の英国における収得賞金は640万6245ポンドに到達。367万4477ポンドのアンドリュー・ボールディング厩舎に273万ポンドもの大差をつけ、英国におけるリーディングトレーナー争いの首位を独走している。

 綺羅星のごとくスターホースが並ぶ銀河系軍団の、今後の予定の一旦を、25日にオブライエン師が披露している。

 まず、インターナショナルSをトラックレコードで制したシティオブトロイについては、11月2日にデルマー競馬場で行われるG1・BCクラシック(d10F)に直行する公算が大きいことを明らかにしている。

 同馬は、9月14日にレパーズタウン競馬場で行われるG1・愛チャンピオンS(芝10F)のエントリーを保持しているものの、最大の目標であるBCクラシックに最高の状態で向かうには、G1・愛チャンピオンSは使わない方が得策との判断があるようだ。

 本来であれば、BC前にダートを経験させたいところではあるが、残念ながら拠点のバリードイルにも近辺にも、デルマーと同じ素材が敷設されたトラックはなく、代替策として、オールウェザートラックが敷設されたサウスウェル競馬場に輸送し、レースコースギャロップを行う可能性に言及している。

 ブックメーカーによるBCクラシックへ向けた前売りでは、多くの社が、シティオブトロイを1番人気(オッズ4-5倍)に支持。一方で一部の社は、24日にサラトガで行われたG1トラヴァーズS(d10F)を制し、3度目のG1制覇を果たした米国調教馬フィアースネス(牡3、父シティオブライト)を、1番人気(オッズ4倍)に推している。これに次ぐ3番手評価が、各社が6-11倍のオッズを提示しているフォーエバーヤング(牡3、父リアルスティール)だ。

 シティオブトロイが回避の方向となったG1・愛チャンピオンSには、オブライエン厩舎は三本の矢で臨むことになりそうだ。

 1本目は、昨年に続くこのレース連覇を狙うオーギュストロダン(牡4、父ディープインパクト)だ。前走G1・キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(芝11F211y)では、公式発表(Good to Firm)よりは「明らかに重かった(オブライエン師談)」馬場をハンドリング出来ず、人気を裏切り5着に敗れたが、レース後の馬の状態に問題はなく、ここを目標に調整が積まれている。

 2本目は、22年のG1・愛チャンピオンS勝ち馬で、昨年は2着だったルクセンブルク(牡5、父キャメロット)だ。

 そして3本目の矢となるのが、3歳世代のロスアンゼルス(牡3、父キャメロット)である。6月のG1・愛ダービー(芝12F)勝ち馬で、追加登録を行って出走した8月21日のG2・グレートヴォルティジュールS(芝11F188y)でも勝利を収めた同馬。G1・愛チャンピオンSと同日にドンカスター競馬場で行われる3歳三冠最終戦のG1・セントレジャー(芝14F115y)にも登録はあるが、オブライエン師としてはG1・愛チャンピオンSに向かいたい意向を示している。

 G1セントレジャーには、ロイヤルアスコットのG2・クイーンズヴァーズ(芝14F34y)勝ち馬で、G2・グレートヴォルティジュールSがクビ差2着だったイリノイ(牡3、父ガリレオ)、8月1日にグッドウッド競馬場で行われたG3・ゴードンS(芝11F218y)を制し、デビューから無敗の3連勝で重賞初制覇を果たしたヤンブリューゲル(牡3、父ガリレオ)、8月17日にカラ競馬場で行われたG3・愛セントレジャートライアルS(芝14F)を20馬身差で圧勝して2度目の重賞制覇を果たしたグロスヴェノースクエア(牡3、父ガリレオ)の3頭で向かうことになる模様だ。

 オブライエン厩舎には、期待の2歳馬も多数いる。

 その筆頭が、8月21日にヨークで行われたG3・エイコムS(芝7F)を快勝し、無敗の2連勝で重賞初制覇を飾ったザライオンインウィンター(牡2、父シーザスターズ)だ。来春のG1・英二千ギニー(芝8F)へ向けた前売りでオッズ7-9倍の1番人気、G1・英ダービー(芝12F6y)へ向けた前売りでもオッズ6-8倍の1番人気に推されている同馬。次走は、9月28日にカラ競馬場で行われるボーナスレースのゴフスミリオン(芝7F)になる模様だ。

 また、8月24日にカラ競馬場で行われたG2・デビュータントS(芝7F)を制し、デビューから無敗の4連勝を飾ったのがベッドタイムストーリー(牝2、父フランケル)だ。来春のG1英千ギニー(芝8F)へ向けた前売りでオッズ4-6倍の1番人気、G1英オークス(芝12F6y)へ向けた前売りでもオッズ6-9倍の1番人気に推されている同馬。次走は、9月15日にカラ競馬場で行われるG1モイグレアスタッドS(芝7F)になる予定だ。

 この秋も、ヨーロッパの競馬はオブライエン勢を中心に展開されそうである。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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