2024年08月29日(木) 18:01
▲川田将雅騎手が競馬ファンの疑問を解説(撮影:福井麻衣子)
なぜレースでは最後まで追わないことがあるのか? 今回はこの疑問について、川田将雅騎手なりの見解を伺いました。
「何の理由もなく追うのを止めるケースはない」そうで、人間に例えながら分かりやすく解説。 川田騎手がレース中に下す判断の理由と“重要性”を語ります。ファンが知らないトップジョッキーが持つ繊細な技術とは──。
(取材・構成=不破由妃子)
──競馬ファンの声としてよく見聞きするのが、「なぜ最後まで追わないんだ」という意見。川田さんの耳にも届いていますよね?
川田 ええ。「勝てないからって諦めて、最後までちゃんと追ってない」とかね。馬券を買っている方にしてみれば、「あいつ、追うのを止めやがって」となる。
──今回は、そういった声に対する川田さんの見解をお聞きしたいなと思いまして。
川田 そう言いたくなる気持ちも十分わかります。僕が見ていてもそう感じるレース、騎乗ぶりがあるのも事実です。ほかのジョッキーがどういう考えや感覚で乗っているのかはわからないけれど、僕に限っていえば、何の理由もなく追うのを止めるケースはないです。僕が直線でちゃんと追っているように見えないレースがあったとしたら、何かしら追えない理由があるときです。
──ということは、実際に追う手を緩める、あるいは追うのを止めるケースもあると。
川田 追うのを止めるときは、心房細動の可能性があるとか、相当の理由があるときです。そういったケースを除いて、僕の感覚で「これ以上無理をさせると、転倒してしまうかもしれない。壊れてしまうかもしれない」と感じたときは、それ以上無理はさせずに、できる範囲内でゴールを目指すという感じですね。つまり、その馬のその日の限界を感じたときです。
▲無理をさせないのは「その馬のその日の限界を感じたときです」(撮影:福井麻衣子)
──それは前回取り上げた跛行=歩様の異常とは違うんですよね?
川田 違います。前回も言いましたが、歩様に異常を感じたら、レース前でもレース中でも僕は迷わず止めますから。そうではなくて、頑張って走ってきた結果、残り100mはもう走れない、これ以上無理やり動かしたらひっくり返るなと感じることがあるんです。
──それは脚の動きで感じる? それとも呼吸?
川田 全体の挙動と・・・
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川田将雅
1985年10月15日、佐賀県生まれ。曾祖父、祖父、父、伯父が調教師という競馬一家。2004年にデビュー。同期は藤岡佑介、津村明秀、吉田隼人ら。2008年にキャプテントゥーレで皐月賞を勝利し、GI及びクラシック競走初制覇を飾る。2016年にマカヒキで日本ダービーを勝利し、ダービージョッキーとなると共に史上8人目のクラシック競走完全制覇を達成。
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