凱旋門賞への勢力分布ほぼ固まる 本命はニエル賞を制したソシエ

2024年09月18日(水) 12:00 31

アーク・トライアル・デーは劇的な結果に

 先週末の「アイリッシュ・チャンピオンズ・フェスティバル」、「アーク・トライアル・デー」を終えて、10月6日にパリロンシャンで行われるG1凱旋門賞(芝2400m)の勢力分布が、ほぼ固まった。

 まず、14日にアイルランドのレパーズタウンで行われたG1愛チャンピオンS(芝10F)。勝ったエコノミクス(牡3、父ナイトオブサンダー)の次走は、10月19日にアスコットで行われるG1チャンピオンS(芝9F212y)、2着オーギュストロダン(牡4、父ディープインパクト)の次走は、11月24日に東京で行われるGIジャパンC(芝2400m)になる予定。ここからは、3着馬シンエンペラー(牡3、父シユーニ)、4着馬ロサンゼルス(牡3、父キャメロット)が凱旋門賞に駒を進めてくる。

 このレースでおおいに株を上げたのが、シンエンペラーだ。5月26日のGI日本ダービー(芝2400m)以来3か月半ぶりの実戦で、明らかに仕上がり途上だったにもかかわらず、勝ち馬からクビ+3/4馬身差の3着という内容に、現地ブックメーカーは素早く反応。レース前には13~17倍だった単勝オッズを、8~9倍にカット。3~4番人気に浮上させている。

 シンエンペラーからアタマ差の4着となったロサンゼルスが、凱旋門賞におけるエイダン・オブライエン勢の代表格となりそうで、同馬もオッズ8~9倍の3~4番人気となっている。

 翌15日にカラで行われたG1愛セントレジャー(芝14F)を2・1/4馬身差で制し、通算7度目のG1制覇を果たしたキプリオス(牡6、父ガリレオ)も、凱旋門賞の登録を保持している。大手ブックメーカーのウイリアムヒルは、同馬の単勝オッズを17倍にカット。9番人気に浮上させたが、レース後のオブライエン師は、凱旋門賞参戦には消極的なコメントを出している。

 前売り1番人気の交代という、劇的な出来事が起きたのが、16日にパリロンシャンで行われたアーク・トライアル・デーだ。

 G1仏ダービー(芝2100m)を含めてここまで3戦無敗で来ていたルックドゥヴェガ(牡3、父ロペデヴェガ)が、3歳馬のG2ニエル賞(芝2400m)で、圧倒的1番人気を裏切り3着に敗退。仏ダービー以降、維持してきた凱旋門賞の前売り1番人気の座から、滑り落ちることになった。

 代わって凱旋門賞本命の座に就いたのが、そのG2ニエル賞を制したソシエ(牡3、父シーザスターズ)である。6月のG1仏ダービーでは、ルックドゥヴェガに2・1/4馬身遅れをとる3着に敗れていた同馬。その後、G1パリ大賞(芝2400m)を制しG1初制覇。そしてG2ニエル賞も完勝し、ルックドゥヴェガとの対戦成績を1勝1敗とした。パリロンシャンではここまで3戦し、負け知らずの3勝という、コース成績の良さもこの馬の強みだ。

 典型的な逃げ馬不在で、押し出されるようにハナに立つという、不慣れな展開になったG2ニエル賞で、生涯初の敗戦を喫したルックドゥヴェガも、大きく評価を下げたわけではなく、各社6~7倍のオッズを掲げて2番人気としている。ただし、初めての2400m戦だったG2ニエル賞で、ゴール前で失速したことが、懸念材料ではあると言えよう。

 G2ニエル賞2着のデリウス(牡3、父フランケル)。7月のG1パリ大賞で、1番人気に推されていたのはこの馬で、もともと期待が高かった1頭だ。追い込むこの馬には不向きな展開となったG2ニエル賞で、そこそこの成績を残したことで、この馬もオッズ9~11倍で上位人気に顔を出している。

 アーク・トライアル・デーのG1ヴェルメイユ賞(芝2400m)を制したのは、凱旋門賞未登録のブルーストッキング(牝4、父キャメロット)だった。この路線の前半戦の総決算であるG1キングジョージVI世&クイーンエリザベスS(芝11F211y)で、2着となっている同馬。レース後に、同馬を管理するラルフ・ベケット調教師は、12万ユーロ(約1900万円)を支払って追加登録を行う可能性に言及した。この馬が出走してくれば、有力馬の1頭になることは間違いなく、その動向がおおいに注目されている。

バックナンバーを見る

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

関連情報

新着コラム

コラムを探す