2024年10月04日(金) 18:00
かつてエアグルーヴなどが頭角を現した「いちょうS」が、改称の経緯を経てGIII「サウジアラビアRC」となって過去9回。この重賞に出走した馬が制したGレースは、このレースの勝ち馬の1勝を含め、海外、公営競馬、障害を合わせ、合計42競走にも達する。
勝ち馬が、このレースを含めて制したGレースに相当する勝利数は「28」レース。2着以下の出走馬がのちに制したGレース格は「14」レース。2018年の勝ち馬グランアレグリアはのちにGレースを7つも勝っている。まだ2歳の10月で例年少頭数だが、勝ち馬だけでなく、負けた馬にとっても大きな未来を展望できる重要な出世レースだ。
人気のアルレッキーノ(父ブリックスアンドモルタル)は新馬勝ちではないが、祖母ハッピーパスも、母チェッキーノも、半姉の今年のオークス馬チェルヴィニアも新馬戦を2着にとどまったあと2戦目に快勝している。新潟1600mを1分33秒3で7馬身差の圧勝は、快時計の珍しくない新潟だけに過信禁物だが、途中から先頭に立ってレースを進めると最後の直線は「11秒4-10秒8-11秒5」=上がり33秒7。ノーステッキの馬なり独走だった。
2戦ともに前半に行きたがった気性が心配だが、一族に逃げ馬は少なく、逃げ一手の単調なタイプではない。昨年の新種牡馬ランキング2位の父ブリックスアンドモルタルはまだ種牡馬としての全容を現していないが、同じブリックスアンドモルタル(GI5勝を含み13戦11勝)の産駒ゴンバデカーブースは逃げ切り勝ちのあと、一転して追い込んでこのサウジアラビアRCを勝っている。2着がボンドガール、3着がシュトラウスだった。
馬券に大きな興味が生じるレースではなく、この先にある未来展望のレースだが、相手には今度は控えるのではないかと思える外国産馬シンフォーエバー(父Complexity コンプレキシティは3代父フォーティナイナー。2戦目に8FのG1シャンペンS快勝)に注目したい。最終追い切りの動きが目立って良かった。
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柏木集保
1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。
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