【菊花賞】クラシックの完結編 夏の上がり馬は見逃せない近年の傾向

2024年10月19日(土) 12:00 9

日本ダービー馬ダノンデサイルにつけ入るスキは?

 クラシックの完結編、菊花賞は、今年も春のクラシック未出走馬が半数を占めている。夏を境に大きく成長し、最後の一冠にこぎつけたものが多いということだが、これらの馬たちは、ほとんどが3000米という長距離に可能性を見出して出走していると言っていい。この10年を見ると、こういう馬が5勝もしているし、さらに付け加えれば、7年連続で連対を果たしていた。

 昨年はその典型的なレースと言ってよく、ダービー馬タスティエーラが2着、皐月賞馬ソールオリエンスが3着で、これらを抑えて勝ったのがオープン初出走のドゥレッツァだった。未勝利戦から4連勝中で前走日本海S2200米を新潟で勝ったばかりだった。大外枠から飛び出し、事前のもくろみとは異なるキャリア初の逃げという戦い方になっていたが、ルメール騎手には自信があった。2周目の向正面からはハナを譲ったが折り合いはしっかりつけ、勝負どころで追い出すと圧倒的な末脚で、3ハロンの上がり最速をマークしていた。

 破竹の5連勝でGI初制覇は、あまりにも衝撃が大きかった。これ以外のクラシック不出走馬の勝利は、前走が神戸新聞杯だったものが3頭、ラジオNIKKEI賞だったものが1頭でどの馬もそこでは2着か3着で、このひと叩きで調子を上げていた。いずれもそれまでに2勝ないし3勝をしていて、前哨戦で確かな手応えをつかみ、本番で花を咲かせたのだった。

 今年は、去年のタスティエーラと同じくダービー馬が菊花賞へ直行してきた。そのダノンデサイルだが、スタミナ豊富な血統で、好位追走から鮮やかに抜け出したレースぶりは見事だった。ただ、日本ダービーは仮柵Cコースの第一週で内が有利で速い上がりタイムの出やすい状況だったことは、無視できない。この馬場の中、前半1000米が62秒2、後半1000米が56秒8でその前後半のタイム差が5秒4もあるスローペース。外を回ったり後方に待機した馬には不利だった。そんな中勝ち馬ダノンデサイルは内をうまく回って抜け出ていたが、全体の走破タイムが平凡だったところに、他馬のつけ入るスキがありそうだと思っている。

 では、トライアル組はどうかだが、後半の1000米が速くなく、3コーナーを1、2番手で通過したものがワンツーして前残りの決着となった神戸新聞杯よりも、全体のタイムが過去10年で2番目に速く、中盤も上がりも平均を大幅に上回ったセントライト記念を上位に取り扱いたい。アーバンシック、コスモキュランダは有力候補になる。

 昨年の覇者ドゥレッツァと同じ3勝クラスの日本海Sを勝ったヘデントールは、上がり馬の代表としてマークしたい。後半の1000米がこの10年で最速だったことを思うと、高速ロングスパートになりやすい京都なら向いているかもしれない。今年もこの出世レースから連対馬が出る流れになるかもしれない。

「迷わずに 走ってつかんだ この歓喜」

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長岡一也

ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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