2025年度JRA開催日程が発表──「競馬の現実」に押された“迫られ型改変”とは

2024年10月28日(月) 18:02

教えてノモケン

▲2025年のJRA開催日程改変について解説(撮影:下野雄規)

 年間で平地重賞が129を数え、夏場を除けば毎週のように重賞がひしめく中央競馬の競走体系は、大幅な改変が難しいほど煮詰まっているように見えた。だが、JRAが9月23日に発表した2025年度の開催日程は、四半世紀ぶりの大幅改変となり、関係者でさえ、頭に入れるのが難しいほどだ。

 改変の主なテーマは暑熱対策、宝塚記念の性格変化、GIとトライアルの日程調整──の3つ。自らデザインした通りにGIを新設できた国際競馬統括機関連盟(IFHA)のパートI国入り前とは異なり、今回は昨今の競馬の現実に押された「迫られ型」改変と言える。気候変動にしても、有力馬の動線の変化にしても現在進行形で流れは続いており、今回打ち出した対策の深掘りが予感される点で、「25年改変」の耐用年数が注目されるところだ。

「二部制」を2場4週に拡大

 24年の中央競馬は既に日程の4分の3以上を消化済みだが、最も大きな変化と言えば、7月末と8月第1週に新潟で施行された「二部制」(競走時間帯の拡大)であろう。1レースの発走時間を午前9時35分に設定し、5レース(午前11時35分)の後、長い昼休みを設定し、午後3時10分に6レースから再開。地上波テレビ放送の時間帯の関係でメイン競走は従来通り午後3時45分(競走番号は第7レース)だが、そこから午後6時25分までに残る5競走を消化する。

教えてノモケン

▲競走時間帯の拡大が施行された夏の新潟競馬場(撮影:下野雄規)

 7月末と言えば、次年度の開催日程、競走番組は大枠が内部的には既に決まっている時期で、二部制の実施状況や問題点を反映する時間的余裕はない。それでも、25年度は二部制を新潟と中京の2カ所で実施し、期間も7月26日から8月17日までの4週8日間に延長する。今夏は阪神の改修工事との兼ね合いで真夏から9月にかけて中京で連続開催が組まれたが、今後はこの時期の中京開催が恒久化する。

 この時期は従来、小倉が舞台だったが、改変のあおりで、幕切れを飾る2歳GIII、小倉2歳S(芝1200m)が今回限りで姿を消し、芝1400mの中京2歳Sに衣替えする。小倉2歳Sは今回も中京で施行されており、小倉で施行されずに44回の歴史を幕を閉じることになった。

 恒久化する中京だが、東海地方の夏の酷暑は全国有数とさえ言われる。今夏の開催にしても、23年10月に発表された当初から、関係者の間から「本気か?」という声が聞かれたほど。実際、暑さのダメージを受けた馬は少なからずいた模様だ。25年は遅めの時間帯に出走する馬は多少ましな状況になると思われるが、同じ二部制施行場でも、体感的な暑さという点では首都圏よりましな新潟とは比較にならない。

 なぜわざわざ猛暑のピークに中京を設定するのか。JRAの回答は・・・

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野元賢一

1964年1月19日、東京都出身。87年4月、毎日新聞に入社。長野支局を経て、91年から東京本社運動部に移り、競馬のほか一般スポーツ、プロ野球、サッカーなどを担当。96年から日本経済新聞東京本社運動部に移り、関東の競馬担当記者として現在に至る。ラジオNIKKEIの中央競馬実況中継(土曜日)解説。著書に「競馬よ」(日本経済新聞出版)。

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