【エリザベス女王杯予想】“ダントツの存在”レガレイラが負けるとしたら──「充実ぶりが目覚ましい」穴馬を推奨

2024年11月08日(金) 18:02

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▲「先頭で駆け抜ける可能性も十分」逆転候補は?(c)netkeiba

競馬アナライザーのMahmoud氏が、動画解析を駆使して科学的に競馬を分析する連載コラム。

前半は先週行われたアルゼンチン共和国杯の回顧。10番人気ハヤヤッコ激走の要因や、ハンデ差が結果に与えた影響を詳細に分析。

後半はエリザベス女王杯の展望。過去の傾向と今回のメンバーから予測されるラップバランスを導き出し、それに合致する馬を探し出します。“ダントツの存在”レガレイラを脅かす意外な伏兵とは…?

(構成:Mahmoud、netkeiba編集部)

同タイム入線でも実質2.0秒差!? ハンデ戦の面白さを語る

──先週行われたアルゼンチン共和国杯は10番人気のハヤヤッコが1着。レースを振り返っていきましょう。

Mahmoud 先週の展望記事に掲載した全頭を57kgの斤量と仮定した走破タイム換算値(対象レースは芝2000m以上)に、今回の1〜4着馬および単勝オッズが1桁台だった馬の計7頭のデータを加えてみました。

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▲全頭斤量57kgと仮定した、出走馬7頭の走破タイム換算値データ(作成:Mahmoud)

 1着ハヤヤッコの過去の最高パフォーマンスは13走前の2022年函館記念。それを走破タイム換算値で0.27秒上回りました。8歳馬にして今回の走りの内容は見事でしたね。

──勝因は何だと考えられますか?

Mahmoud レースレコードとなりスピードがあったとイメージされるかもしれませんが、そのスピードの内容を個別ラップタイムで表してみましょう。

7.90-11.75-11.80-12.15-12.15-12.05-12.00-11.60-11.50-11.55-11.45-11.40-11.70

 後半1000mは57.60秒。前週の天皇賞(秋)で後半1000mを57.65秒で走った3着ホウオウビスケッツは、道中の最遅ラップタイムが12.05秒、後半1000mは11.90-11.80-11.05-11.10-11.80でした。

 この2頭のスピードの質は大きく異なり、ハヤヤッコはトップスピードは高くないものの、スピードの持続力に秀でていることがわかります。残り100m辺りで左手前に替えましたが、そこからゴールまで13完歩で再度ピッチを速めており、その素晴らしいタフネスぶりがレース展開にマッチしました。

──後半1000mをバテずにトータルで速く走れるのがハヤヤッコ。上がり600mからグンとスピードを上げて走れるのがホウオウビスケッツら天皇賞(秋)の好走馬たちということですね。2着のクロミナンスも過去走より上がり600mは時計がかかっています。

Mahmoud クロミナンスは堂々たるキャリアハイのパフォーマンス。4走前から挑んでいる2000m超の距離で真価を発揮し始めています。当馬の父はミオスタチン遺伝子CC型のロードカナロアで、クロミナンスはおそらくCT型。天皇賞(春)を2連覇したフェノーメノもCT型です。メルボルンCで僅差の2着となったドレフォン産駒のワープスピードと同様、長距離適性を見いだした陣営の手腕は見事です。

──3着は先週の展望記事で名前を挙げたタイセイフェリークです。

Mahmoud 3着タイセイフェリークは、勝利した夕月特別(2勝クラス)を僅かに上回るキャリアハイのパフォーマンス。厳しいペースに対応する力を持っており、まさにステイヤーというタイプと言えます。

 クロミナンスとタイセイフェリークは同タイム入線でしたが、走破タイム換算値表の通り、2500m戦では斤量6kg差が2秒差に相当します。これがハンデ戦の面白さであり、走破タイムやラップタイムは斤量差で補正して捉えることが重要です。

※1kgの斤量差が与える影響についてはこちらの回で具体例を用いて解説

──Mahmoudさんが先週推奨していたアドマイヤハレーは12番人気で惜しくも4着でした。

Mahmoud アドマイヤハレーは単勝オッズ51.6倍からすると健闘したと思われがちですが、ここ5戦の芝2200m以上の距離の中では3番目のパフォーマンスです。これくらいは十分走れる馬で、キャリアハイまで到達すれば馬券内の可能性がありました。

──上位人気馬の敗因も軽く触れておきましょう。

Mahmoud サヴォーナはここ3戦のレベルに近いパフォーマンス。今回と同じくペースが速かった日経新春杯ほどの走りにはなりませんでした。セレシオンはここ4戦のパフォーマンスレベルが似ており、現状の力をまずまず出した内容。ショウナンバシットは道中2番手で、前半1900m換算値で前走を0.77秒上回るペースに耐え切れなかったようです。

 速いペースに耐えられるかがポイントとなったレースで、各馬の着差が大きく広がりやすかったものの、1〜8着は0.7秒差。その要因は絶妙なハンデ設定にあります。そして1-3着馬はキャリアハイのパフォーマンスを発揮し、4着以降はキャリアハイを下回りました。馬券圏内に入るかどうかの違いは、ベストを出せたか否かにあったと言えます。

──ハンデ戦はやはり予想が面白いですね。今週末はGI・エリザベス女王杯です。レガレイラの1強ムードですが、脅かす馬を探したいです。

京都のエリザベス女王杯は上がり特化傾向も──馬場改修後の昨年は…

Mahmoud まずは京都芝2200mでの過去のエリザベス女王杯の傾向を指数ベースで振り返ってみましょう・・・

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Mahmoud

動画解析から個別ラップタイムや完歩ピッチを計測し、競馬を理論的に解明する唯一無二の競馬アナライザー。過去には競馬雑誌サラブレなどで活動。「Mahmoudの競走馬研究室」でしか見られない独自の理論をお楽しみください。

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