マイルCSに参戦予定 チャリンの父ダークエンジェルのリーディングサイアーが確定か

2024年11月13日(水) 12:00

大躍進見せたブルーポイントにも要注目

 イギリスでは9日(土曜日)のドンカスター開催をもって、24年の芝平地競馬が閉幕した。年末まで、オールウェザーによる平地開催が続けられるものの、それほど高額な賞金が設定されたレースはなく、したがって、リーディングサイアー争いにはほぼ決着がついたと言ってよさそうだ。

 イギリスとアイルランドの数字を合算したリストで首位に立っているのは、アイルランドのヨーマンズタウンスタッドで繋養されているダークエンジェル(19歳)だ。

 現役時代の同馬は、バリー・ヒルズ厩舎から2歳シーズンの4月18日にデビュー。2戦目に勝ちあがった後、ロイヤルアスコット開催のLRウインザーキャッスルS(芝5F)では11着に大敗したが、通算7戦目となったニューバリーのG2ミルリーフ(芝6F)を制し重賞初制覇。さらにニューマーケットのG1ミドルパークS(芝6F)も連勝してG1初制覇を果たしている。

 だが、続いて出走したG1デューハーストS(芝7F)では9着に大敗。この1戦をもって現役を退き、3歳春から種牡馬入りすることになった。

 故障などがあったわけではなく、馬は健康だったが、種牡馬としての最初の繋養先となったキルデアのモリスタウン・ラティンスタッドから、2歳時のダークエンジェルを共有していたパートナーシップに対して熱心なオファーがあり、協議の末に2歳一杯での引退を決めたとされている。初年度の種付け料は1万ユーロだった。

 2009年に生まれた初年度産駒から、G1ダイヤモンドジュビリーS(芝6F)やG1ジュライC(芝6F)を制し、カルティエ賞最優秀スプリンターの座に輝いたリーサルフォースが登場。さらに3年目の産駒から、G1ナンソープS(芝5F)を連覇したメッカズエンジェルが出現するなど、関係者の期待通り、スピード豊かな産駒を送り出すことになった。

 こうした馬たちの活躍を受け、ダークエンジェルは2016年からヨーマンズタウンスタッドに移籍。同年の種付け料は初年度の6倍となる6万ユーロに上昇している。

 その後も、2017年のカルティエ賞最優秀スプリンター・ハリーエンジェル、2020年のカルティエ賞最優秀スプリンター・バターシュらが登場。短距離馬の父として確固たる地位を築く一方で、17年にG1クイーンエリザベス2世S(芝8F)を制したパースウェイシブ、18年にG1ハリウッドダービー(芝9F)を制したレイジングブルが登場するなど、短距離以外の路線で活躍する馬も送り出すようになった。

 こうして迎えた今年、ロイヤルアスコット開催でチャリン(牡4)がG1クイーンアンS(芝8F)を、カーデム(セン8)がG1クイーンエリザベス2世ジュビリーS(芝6F)を制覇。この段階でリーディングの首位に台頭した。

 その後、ドバウィに逆転された時季もあったが、チャリンがG1クイーンエリザベス2世S(芝8F)を制した10月になると、首位に再浮上。そのまま逃げ切ることになった。2位、3位、4位は、ドバウィ、ガリレオ、フランケルの御三家で、この顔触れを凌駕しての首位というのは、大きな価値があると言えそうだ。

 ダークエンジェルが、英愛リーディングサイアーランキングで初めてトップ10に入ったのは、9位となった2013年だった。これを皮切りに、リーディング上位の常連となった同馬は、15年に4位と初のトップ5入り。さらに17年には2位まで躍進。2023年にも2位となっていたが、首位に立つのは今年が初めてとなった。

 ちなみにダークエンジェルは今年、日本でもGI高松宮記念(芝1200m)勝ち馬マッドクールを送り出している。

 さて、英愛ランキングは前述したように、2位から4位にお馴染みの名前が並んでいる他、5位以下も、ロペデヴェガ、キングマン、シーザスターズといったプルーヴンサイアーたちの名が並んでいる。

 そんな中、大きな躍進を見せたのが、10位にランクインしたブルーポイントだ。

 2019年のカルティエ賞最優秀スプリンターである同馬。北半球における初年度産駒が生まれたのが2021年で、すなわち2024年は、3歳と2歳の2世代しか稼働していなかったのである。

 それでいて、3歳世代にはG1愛二千ギニー(芝8f)やセントジェームズパレスS(芝7F213y)を制したロザリオン、G1英チャンピオンズスプリントS(芝6F)を制したカインドオブブルー、G2キングジョージS(芝5F)勝ち馬ビッグイーヴス、G3オークツリーS(芝7F)勝ち馬ラキヤらが登場。

 2歳世代にも、G3ファースオブクライドS(芝6F)、G2クリテリウムドメゾンラフィット(芝1200m)を制したスカイマジェスティーが出現。ランキングを一気に駆け上がってきた。今後は、リーディング争いに絡む存在になりそうである。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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