2025年01月20日(月) 18:00 23
【Pick Up】ロードデルレイ:1着
父ロードカナロアは、2020年から5年連続で総合種牡馬ランキング第2位。今年もキズナに次いで第2位をキープしています。現役時代は短距離を中心に無敵を誇り、年度代表馬にも選出されました。
種牡馬としてもアーモンドアイ、サートゥルナーリア、ダノンスマッシュ、ブレイディヴェーグ、パンサラッサ、ステルヴィオ、ファストフォース、ベラジオオペラなど多くの活躍馬を出しています。産駒の芝平均勝ち距離は1530m。昨年の総合種牡馬ランキング上位10頭のなかでは最も短く、基本的には短いところに向いた種牡馬です。ただ、配合次第で中距離向きの仔を出せるところが持ち味のひとつで、たとえばアーモンドアイは母フサイチパンドラがエリザベス女王杯を、サートゥルナーリアは母シーザリオがオークスを勝っており、ブレイディヴェーグは母インナーアージがオークス馬ミッキークイーンの全姉です。
ロードデルレイの母デルフィーノは芝2000mを勝ったことがある中距離タイプ。母の父ハーツクライはサンデーサイレンスの後継種牡馬のなかではスタミナ豊富なタイプです。「ロードカナロア×ハーツクライ」の組み合わせは、すでにケイデンスコール、トロワゼトワル、ヴァルディゼール、タガロア(豪G1・ブルーダイヤモンドS)が出ており、これで5頭目の重賞勝ち馬となりました。
ロードカナロア産駒は中京芝2200mで連対率30.8%。2015年以降、当コースで産駒が20走以上した32頭の種牡馬のなかでナンバーワンの成績です。
【Pick Up】キングノジョー:4着
前半1000mのラップが「58秒3」という過去20年間で最速の流れ。前半後ろに控えた馬たちが上位を占めました。ただ1頭の例外がキングノジョー。先行勢が総崩れとなるなか、4着に粘った内容は高く評価できます。
母パレスルーマーは名繁殖牝馬で、パレスマリス(米G1・ベルモントS)、ジャスティンパレス(天皇賞(春))、アイアンバローズ(ステイヤーズS)を産みました。本馬はジャスティンパレスの4分の3弟。父がディープインパクトからシルバーステートに替わりました。
父シルバーステートは、ディープインパクト産駒ながら母の父がスピードの持続力に定評があるロベルト系であるせいか、先に行って粘り強い産駒が目に付きます。これまでに重賞を勝ったのは、ニュージーランドT(エエヤン)、七夕賞(セイウンハーデス)、中山金杯(リカンカブール)、ファンタジーS(ウォーターナビレラ)と、小回りコースか内回りコースに限られています。
コース別成績を見ると、東京芝の連対率が11.4%に対し、中山芝は21.5%と、倍近い差があります。東京コースでは例外的に2000mの成績が優秀ですが、基本的には中山コースで買いたい種牡馬です。
ロベルトのクロスを持つシルバーステート産駒はニックスで、ウォーターナビレラ、リカンカブール、セッション、ケイアイサンデラなどコンスタントに活躍馬が出ており、連対率、1走あたりの賞金額、勝馬率ともシルバーステート産駒全体の成績を上回っています。
今回は展開が向きませんでしたが、2戦目でこれだけやれるのはハイレベルな資質があればこそ。母パレスルーマーおそるべし、です。新馬戦は東京コースだったので、コースに関して神経質になる必要はなさそうですが、少なくとも中山コースでは常に注意が必要でしょう。気性面が成長すればGIも見えてきます。
【ルファビュリュー】
フランス伝統の長距離血統で、父系をさかのぼると19世紀の大種牡馬セントサイモンに到達します。1964年に仏ダービーを制覇。引退後、種牡馬となってフランスで6年間供用されたあと、アメリカの名門クレイボーンファームに移籍しました。
スピード面に難はありましたが、アメリカ血統のスピードに大レース向きの底力を与える役割を果たし、とくにブルードメアサイアーとしての成績が優れていました。
「母の父ルファビュリュー」は80年代後半から大成功を収め、アンブライドルド、マニラ、ジルザル、ミセスペニー、チーフシンガーなど、アメリカとヨーロッパの双方で大物を連発。日本でもフランス調教馬ルグロリューがジャパンCを制覇し、朝日杯3歳Sなど4戦全勝のフジキセキがサンデーサイレンスの有力な後継種牡馬となりました。ちなみに、ルファビュリューの父ワイルドリスクは、ブラッシンググルームの母の父です。
クレイボーンファームに導入されたセントサイモン系ステイヤー種牡馬といえば、アイルランドで誕生したプリンスキロがいます。プリンスキロは北米のブルードメアサイアーランキングで8回首位に立ち、セクレタリアト、ミルリーフ、フォートマーシーなど多くの名馬を出しました。
「父=アメリカのスピード血統、母の父=ヨーロッパのスタミナ血統」という配合パターンは、1960年代以降、アメリカ血統が世界化する際に大きな役割を果たしました。
「ソットサスの初年度産駒の成績は?」
現役時代に凱旋門賞、仏ダービー、ガネー賞などを制覇しました。シンエンペラーの全兄、シスターチャーリー(BCフィリー&メアターフなど米G1を7勝)の半弟にあたる良血です。
2024年に初年度産駒がデビューし、JRAでは1月19日の中京5R新馬戦(芝2000m)でセナスタイルが初勝利を挙げました。同馬の母ヌーヴォレコルトは、オークスなど4つの重賞を制覇した名牝で、香港C、エリザベス女王杯、秋華賞で2着と健闘しています。
ヨーロッパのファーストシーズンサイアーランキングでは、フランス9位、イギリス13位、アイルランド26位。まだ重賞戦線で活躍するような馬は出ていません。とはいえ、早熟タイプではないのでまだまだこれから。いずれ中距離戦線で大物が出てくることを期待したいと思います。
2025年から日本軽種馬協会静内種馬場で供用されます。種付け料は受胎確認後支払いで250万円。
栗山求
netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG