日本ダービー以来の勝ち星を掴んだダノンデサイル エピファネイア産駒は今年も好調維持中

2025年01月27日(月) 18:00 27

血統で振り返るAJCC

【Pick Up】ダノンデサイル:1着

 父エピファネイアは、初年度に牝馬三冠馬デアリングタクト、2年目に年度代表馬エフフォーリアを出すなど、能力の上限の高い仔を出す一流種牡馬ですが、種牡馬ランキングは意外なほど低めで、2023年までの最高ランクは8位(2021年)。しかし、昨年は日本ダービー、桜花賞、宝塚記念、ヴィクトリアマイルを含めて自己ベストの重賞9勝を記録し、3位に躍進しました。今年に入ってフェアリーS(エリカエクスプレス)とAJCC(ダノンデサイル)を制し、好調を維持しています。

 ダノンデサイルは2025年のエピファネイア軍団の大将格です。昨年の日本ダービー以来の勝利となりました。

 母トップデサイルはアメリカ産馬。現役時代に米G1・BCジュベナイルフィリーズで2着となりました。社台ファームが輸入し、ここまで4頭の仔がデビューを果たしていますが、新馬戦しか走っていないブレイントゥルーを除いた3頭はいずれも2勝以上を挙げています。競走馬としても繁殖牝馬としても優秀です。

 母の父コングラッツは、ダート王フォーエバーヤングの母の父でもあります。ブルードメアサイアー(母の父)として非凡な才能を示しています。

 本馬はロベルト4×5。このクロスを持つエピファネイア産駒は、連対率、1走あたりの賞金額、勝馬率、2勝以上率とも、父の全体成績を上回っています。

血統で振り返るプロキオンS

【Pick Up】サンデーファンデー:1着

 生産したグランド牧場は、スマートボーイ、プリエミネンス、フェスティバル、ラブミーチャン、サンビスタ、マイネルクロップ、タイニーダンサー、クイーンマンボ、ヒガシウィルウィン、ハヤブサナンデクン、テイエムサウスダン、オマツリオトコをはじめ、多くのダート重賞勝ち馬を生産してきました。

 本馬は、父スズカコーズウェイ(京王杯スプリングC)、母の父スマートボーイ(平安S2回、マーチS、アンタレスS2回)ともグランド牧場の生産馬。遠くパツシングクラウドにさかのぼるファミリーもグランド牧場で代々育まれたので、グランド牧場の歴史そのもの、という血統です。

 このなかでスマートボーイはとくに印象的です。生涯に挙げた11勝はすべて逃げ切り勝ち。溜めて逃げるというタイプではなく、ハイペースで飛ばしてねじふせるという豪快なレースぶりは多くのファンを魅了しました。京都の軽い砂を得意とし、馬体重が減ったときに好走することが多かった馬でした。

 今回のサンデーファンデーの勝利は、軽めの砂で、馬体重が減っていたので、偶然にも母の父スマートボーイの好走パターンと合致していました。

 ちなみにスマートボーイの主戦ジョッキーだった伊藤直人騎手によると、逃げ馬にもかかわらずとても馬好きで、稽古でも返し馬でも、馬がいるとそちらに寄っていくところがあったそうです。とくに牝馬が大好きで、2000年のエルムSでは、ゲートインしたあと隣の枠に入ったゴールドティアラをじっと見つめてしまい、スタートで大出遅れ。最後方追走のまましんがり負けを喫しました。ちなみに、ゴールドティアラは牝系子孫からステファノス、ジュンブロッサムなどの重賞勝ち馬を生み出していますが、このファミリーの牝馬とスマートボーイが交配したことはありません。

知っておきたい! 血統表でよく見る名馬

【ダイナフォーマー】

 ブライアンズタイム、サンシャインフォーエヴァーと同じく、1985年にアメリカのダービーダンファームで誕生しました。父がロベルト系で母方にリボーを持つ、という配合は同ファームの十八番。まったく同じパターンを持つグラスワンダーも同ファームの生まれです。

 現役時代はダート中距離の米G2を2勝。芝12ハロンのG2で3着という成績があります。種牡馬として大成功を収め、無敗のケンタッキーダービー馬バーバロをはじめ、英1000ギニーと愛オークスを勝ったブルーバンティング、ロータスランドの父で芝G1を5勝したポイントオブエントリーなど、芝・ダート、距離を問わず世界中で多くの名馬を誕生させました。ロベルト系らしい底力がセールスポイントです。

 母の父としても優秀で、わが国ではグランシルク、チャックネイト、アンドラステ、ニューダイナスティなどが出ています。ダノンデサイルの3代母の父でもあります。

血統に関する疑問にズバリ回答!

「有名種牡馬の生涯産駒数は?」

 血統登録頭数が1500頭を超えているものは以下のとおり。ロードカナロアは現役なのでまだまだ数字を伸ばすはずです。

フジキセキ     1872頭
キングカメハメハ  1854頭
クロフネ      1847頭
ディープインパクト 1777頭
ダンスインザダーク 1694頭
ハーツクライ    1603頭
サクラバクシンオー 1568頭
シンボリクリスエス 1562頭
ブライアンズタイム 1558頭
マンハッタンカフェ 1530頭
ロードカナロア   1522頭
サンデーサイレンス 1514頭

 年間200頭を超えるような種付けが普通に行われるようになったのは最近のことで、昔の種牡馬の年間種付け頭数はごく少なめでした。ノーザンダンサーの生涯産駒数は635頭、ハイペリオンは527頭、ナスルーラは420頭、ボールドルーラーは366頭、ネイティヴダンサーは306頭、ザテトラークは130頭、ドミノは19頭です。

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栗山求

netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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