【東京新聞杯 AI予想】今週は見解が一致! AIの挙げた注目馬は素直に信頼して良さそう

2025年02月03日(月) 18:00 26

単勝オッズ4.6倍(2番人気)のコスタノヴァが勝利(撮影:下野雄規)

netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。

(文・構成=伊吹雅也)

上位人気グループの好走率がそれほど高くない点に注意

AIマスターM(以下、M) 先週は根岸Sが行われ、単勝オッズ4.6倍(2番人気)のコスタノヴァが優勝を果たしました。

伊吹 強かったですね。五分のスタートから中団を進み、3コーナーで最内のポジションを確保。先団の動きを見ながら4コーナーで再び外へ持ち出し、ゴール前の直線に入ったところで早くも前の各馬をかわす態勢に入っています。

 残り400m地点を過ぎたところで先に抜け出したサンライズフレイム(4着)らをかわし切り、単独先頭に。その後も脚色はまったく衰えず、中団から伸びてきたロードフォンス(2着)に4馬身の差をつけて入線しました。

 カラ馬に進路をカットされかけるような場面もありましたが、横山武史騎手の落ち着いた手綱捌きもあって、終始スムーズな競馬。これだけのメンバーを相手に圧勝して見せたわけですから、人馬ともにお見事と言うほかありません。

M コスタノヴァは重賞初制覇。東京のレースはこれで5戦5勝です。

伊吹 前走のクラスターCで6着に敗れてしまったものの、おそらくこれは単純に盛岡競馬場の馬場や1200mの距離が合わなかったのでしょう。

 オープン特別初挑戦となった2走前の欅Sでは、昨年の根岸Sや武蔵野Sを制したエンペラーワケアに1馬身1/4差をつけて勝利。このレースの3着馬ベジャールは、エンペラーワケアからさらに5馬身離遅れてゴールしました。

 コース適性の高さはもちろん、能力の高さも十分過ぎるほどに証明していたわけですから、順当と言えば順当な勝利。5歳馬とはいえまだキャリア9戦ですし、伸びしろもあるのではないかと思います。

M 次走は未定とのことですが、優先出走権を獲得したフェブラリーSに出走してきたら、かなりの支持を集めそうですね。

伊吹 間隔をあけながら使われてきた馬ですし、中2週でフェブラリーSを使ってくるとなると、そのあたりの影響も考慮しなければなりません。もっとも、距離が延びる点に関してはまったく問題なさそう。もし参戦してきたら相応に高く評価するべきでしょう。もちろん、他のレースを選んだとしても相当に注目が集まるはず。引き続き今回のパフォーマンスをじっくり分析して、次の機会に活かしていこうと思います。

M 今週の日曜東京メインレースは、一線級のマイラーが参戦してくる年も少なくない古馬重賞、東京新聞杯。昨年は単勝オッズ33.8倍(7番人気)のサクラトゥジュールが優勝を果たしました。

 なお、その2024年は単勝オッズ8.4倍(4番人気)のウインカーネリアンが2着、単勝オッズ35.3倍(8番人気)のホウオウビスケッツが3着となり、3連単60万4680円の高額配当決着。今年も波乱を警戒しておくべきでしょうか?

伊吹 2017年以降の過去8回中5回は3連単の配当が5万円未満。2022年に至っては3連単8750円の低額配当決着でしたし、荒れやすいレースとまでは言えませんね。

M 過去10年の単勝人気順別成績を見ると、4番人気から6番人気の馬が優秀な成績を収めている一方で、単勝3番人気以内の馬は好走率が物足りない水準にとどまっています。

伊吹 ちなみに、単勝7番人気から単勝12番人気の馬は2015年以降[1-2-2-53](3着内率8.6%)、単勝13番人気以下の馬は2015年以降[0-0-0-32](3着内率0.0%)でした。超人気薄の馬があまり上位に食い込めていない一方、上位人気馬の信頼度が低いレースであるのもまた事実。手頃なオッズの伏兵を狙うのがセオリーと見るべきでしょう。

M そんな東京新聞杯でAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、ボンドガールです。

伊吹 ちょっと意外なところを挙げてきましたね。今回のメンバー構成なら実績上位ですし、それなりに支持が集まるはず。

M ボンドガールは4歳牝馬。重賞タイトルこそまだありませんが、前走の秋華賞で2着に食い込むなど、強敵相手に善戦を続けています。牡馬相手のニュージーランドTや古馬相手のクイーンSで2着となった実績がありますから、牡牝混合の古馬重賞である点も心配する必要はなさそう。おそらく、上位人気グループの一角を占めることになるでしょう。

伊吹 どちらかと言えば穴党であるAiエスケープがこの馬を推奨してきたということは、今回は手頃なオッズの伏兵が見当たらなかったようですね。もっとも、単勝1番人気になるかどうかは微妙なところですし、買い目作りのポイントとなる一頭であることは間違いありません。Aiエスケープの見解を踏まえたうえで、好走馬の傾向とこの馬のプロフィールを比較していきたいと思います。

M 真っ先に注目しておくべきポイントはどのあたりでしょうか?

伊吹 まずは出走各馬の血統をチェックしておきたいところ。2020年以降の過去5年に限ると、ディープインパクト系種牡馬やミスタープロスペクター系種牡馬の産駒は苦戦していました。

M 思いのほかはっきりと明暗が分かれていますね。

伊吹 ちなみに、父がディープインパクト系種牡馬、かつ“前年以降の、JRAの、2000m未満の、GIのレース”において3着以内となった経験がない馬は2020年以降[0-0-0-15](3着内率0.0%)。また、父がミスタープロスペクター系種牡馬であるにもかかわらず3着以内となったのは、2021年1着、2022年3着のカラテだけです。今年も両父系に属する種牡馬の産駒は疑ってかかるべきでしょう。

M ボンドガールの父はダイワメジャー。ディープインパクト系やミスタープロスペクター系の種牡馬ではありません。

伊吹 あとは臨戦過程も素直に評価したいところ。同じく2020年以降の3着以内馬15頭中11頭は、前走の距離が1600m超、もしくは前走の条件がGIでした。

M 今回より長い距離のレースから転戦してきた馬や、ビッグレースからの直行組を重視した方が良さそうですね。

伊吹 一方、前走の距離が1600m以下、かつ前走の条件がGI以外、かつ前走の着順が2着以下、かつ前走の1位入線馬とのタイム差が0.3秒以上だった馬は2020年以降[0-1-0-35](3着内率2.8%)。前走好走馬でない限り、前走が1マイル以下、かつGIでないレースだった馬は評価を下げるべきだと思います。

M ボンドガールの前走、秋華賞は京都芝2000m内で施行されたGI競走。この点も強調材料のひとつと見て良いのではないでしょうか。

伊吹 さらに、同じく2020年以降の3着以内馬15頭中12頭は、美浦所属の調教師が管理する関東馬でした。

M 栗東所属の調教師が管理する関西馬は、あまり上位に食い込めていませんね。

伊吹 今年の東京新聞杯に特別登録を行った17頭のうち、過半数の9頭は関西馬。オッズ等にもよるとはいえ、いずれも過信禁物と見ておいた方が良さそうです。

M ボンドガールを管理しているのは美浦所属の手塚貴久調教師。好走馬の傾向からも強調できる、大きな不安要素が見当たらない一頭ということになります。

伊吹 もともと私も、この馬は素直に中心視するつもりでした。Aiエスケープから見ても魅力的な存在なのであれば心強い限り。手頃なオッズがつきそうな伏兵とセットで連軸を任せたいですね。

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伊吹雅也

競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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