ケンタッキーダービーを目指す馬たちが始動 全米2歳牡馬チャンピオンも好発進

2025年02月05日(水) 12:00 15

B.バファート調教師が上位を独占

 2024年の全米2歳牡馬チャンピオン・シチズンブル(牡3、父イントゥミスチーフ)が、1日にサンタアニタ競馬場で行われたG3ロバートB.ルイスS(d8F)で今季初登場。2着以下に3.3/4馬身差をつける快勝を見せ、大目標であるG1ケンタッキーダービー(d10F)に向けて好発進を見せた。

 スタート後の一完歩目で躓くアクシデントがあり、ファンを一瞬ヒヤっとさせたシチズンブルだったが、すぐに体勢を立て直すと、1コーナー入り口で先頭へ。半マイル=47秒06のラップを刻んだ後、直線に向くと後続を突き離す盤石のレース内容で、レベルの違いを見せつけた。

 同馬を管理するボブ・バファート調教師にとって、ロバートB.ルイスSはこれで7年連続での制覇。通算で13度目の優勝となっている。また、2着ロドリゲス(牡3、父オーセンティック)、3着マダケットロード(牡3、父クオリティロード)もバファート師の管理馬で、1日のサンタアニタ競馬場はバファート祭りとなった。

 G1デルマーデビュタントS(d7F)、G1シャンデリアS(d8.5F)という2つのG1を制したムーンシャインメモリーズの甥にあたり、キーンランド9月1歳市場にて67万5千ドル(当時のレートで約1億1万円)で購買されたのがシチズンブルだ。

 デビューは昨年の8月で、デルマー競馬場のメイドン(d5.5F)を制して緒戦勝ちを果たすと、陣営は同馬の2戦目に、デルマー競馬場のG1デルマーフューチュリティを選択。

 しかし、ここでのシチズンブルは勝ち馬ゲイミングから5.3/4馬身差の3着に終わり、オッズ2.3倍の1番人気に支持したファンの期待に応えることが出来なかった。

 しかし、続くG1アメリカンファラオS(d8.5F)を逃げ切りで制し、G1で重賞初制覇。さらに11月1日にデルマー競馬場で行われたG1BCジュヴェナイル(d8.5F)も勝って、4戦3勝の成績で2歳シーズンを終えていた。

 バファート師は同馬の次走について、馬の状態を見ながら馬主と相談したいとして、明言をしていない。

 そのバファート厩舎にあって、1月半ばに売り出されたケンタッキーダービー・フューチャー・ウェイジャーのプール3で、個別の馬では1番人気に推されたのが、バーンズ(牡3、父イントゥミスチーフ)である。

 3代母がG1テストS(d7F)、G1バレリーナH(d7F)という2つのG1を制したドリームシュプリームという血統背景を持ち、23年のファシグティプトン・サラトガ1歳セールにて、セッション2番目の高値となる320万ドル(当時のレートで約4億6099万円)で、ゼダン・レーシングの代理人に購買されたのがバーンズだ。11月27日にチャーチルダウンズ競馬場で行われたメイドン(d5.5F)をアタマ差で制してデビュー勝ち。2戦目となったのが1月4日にサンタアニタ競馬場で行われたG2サンヴィセンテS(d7F)で、同馬はここを5.1/2馬身差で快勝。無敗の重賞制覇を果たした。

 そのバーンズは、G3ロバートB.ルイスSが行われた2月1日の朝、サンタアニタ競馬場で追い切りが行われ、5F=59秒8という好時計をマーク。同馬の次走についてバファート師は、2月22日にオークローンパーク競馬場で行われるG2レベルS(d8.5F)か、3月1日にサンタアニタ競馬場で行われるG2サンフェリペS(d8.5F)のいずれかになるとコメントしている。

 先週末は他にも、3歳世代の有力馬が追い切られたというニュースが聞こえてきた。

 1日朝にルイジアナ州のフェアグラウンズ競馬場で追われたのが、ゴドルフィンのイーストアベニュー(牡3、父メダグリアドーロ)だ。2歳8月にデビューし、エリスパーク競馬場のメイドン(d6F)、キーンランド競馬場のG1ブリーダーズフューチュリティ(d8.5F)を連勝後、1番人気に推されたG1BCジュヴェナイルでは、スタートで躓くと終始後方のまま9着に敗れた同馬。1日はゲートから出て、4F=48秒8、5F=61秒4の時計をマークしている。イーストアベニューは、15日にフェアグラウンズ競馬場で行われるG2リズンスターS(d9F)で、今季初出走の予定となっている。

 本番まで3か月を切り、ケンタッキーダービーを目指す有力3歳馬たちの動きが、各地で活発になっている。米国から聞こえてくる最新ニュースに、耳をそばだてたいと思う。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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