2025年02月10日(月) 18:02 69
▲京都記念に出走予定のヨーホーレイクを担当する津田朝明調教助手(撮影:大恵陽子)
京都記念に出走予定のヨーホーレイク。皐月賞や日本ダービーでは目立つ末脚を繰り出すなど、早くから期待された素質馬でした。ところが、4歳春に屈腱炎を発症し、2年2カ月の休養を余儀なくされました。
諦めずに戦線復帰すると、3戦目の鳴尾記念で重賞制覇。そして7歳になった今年、さらなる飛躍を目指して京都記念から始動します。友道康夫厩舎で担当する津田朝明調教助手に伺いました。
(取材・構成:大恵陽子)
──デビューの頃から担当されているとのことですが、最初の頃の印象は?
津田 気持ちの幼さがあったのと、体を持て余していた印象です。馬格があってパワーはあるんですけど、体を上手く使いこなす器用さにはちょっと欠けていて、力任せに体を動かしているような感じでした。
──小さな子供がドタバタと力任せに走るイメージですか?
津田 そんな感じです。その状態でよく2連勝してくれたと思います。
──皐月賞でも後方からながら、5着まで追い込んできました。
津田 ポジション的に厳しくて、よく(岩田)望来くんがダービーへの権利を取ってくれたと思いました。
──それだけに、直線が長い日本ダービーは期待が高まりましたが、直線でスムーズに進路が開かない場面が何度かありました。
津田 状態も良く、期待して送り出しました。競馬だから仕方ないですけど、行くところ行くところ進路が詰まってしまって、力を出せずに終わりました。ジョッキーも悔やんでいて、仕方ないですけど、残念でした。
──秋を目指していたものの目の外傷のため休み、年が明けての日経新春杯で重賞初制覇を果たしました。成長などはありましたか?
津田 まだ成長段階としてはゆっくり、ゆっくりというイメージでした。
▲鋭い末脚で差し切った日経新春杯(ユーザー提供:ししゃもいぬさん)
──それでも重賞を勝つんですから、さらに磨きがかかれば楽しみなところだったと思いますが、この後に屈腱炎を発症。
津田 日経新春杯を勝って、4歳はいい走りができる年だなと思っていた矢先でした。
──2年以上にわたる休養となりました。帰厩してからは?
津田 さすがに長期休養明けで体は全然使えないし、息遣いも悪いし、太目残りでした。まずはダイエットをして息遣いを整えることが第一なので、プールにどんどん通いました。
──「友道厩舎」「プール」と聞くと、ドウデュースを思い出します。もしかして、スイミング友達?
津田 あはは(笑) ドウデュースは泳いでいるというか浮かんでいるというか、水の中ではのんびりしていましたね。行く時間は別々でした。
──そうですよね、さすがに一緒には行かないですね。プール通いは脚元への負担を考えてですか。
津田 体を絞るためにはコースで長い距離を乗りたいですけど、脚元のこともあるのでダイエットが終わるまでは坂路中心で、あとはプールでした。それでも、コースで調教しないと息が作れないので、復帰戦の金鯱賞の1週前は併せ馬でしっかりやりました。屈腱炎明け初戦なので脚元にはかなり気を使いましたが、調教でダメになるくらいなら競馬でもちませんから。
──そんな中、いきなり金鯱賞で3着。しかも、これまでより前のポジションを取れるようになっていました。
津田 これまではトモが甘いので、スタートで後手を踏んでいました。この頃でもまだまだっていうところはありましたけど、2歳の頃と比べれば多少改善していました。でも、怖がりだから、競馬に行ったらカーッとなっちゃうんです。休養を経て気性面が成長してくれていたらなあ、と思っていたんですけど、2年放牧に行ってもそのへんは変わらずか、逆にちょっと幼くなって帰ってきました(苦笑)。
──怖がりさんはトレセンでは何に反応するんですか?
津田 カサッという音とか風とか、いろんなことが怖いみたいです。だから、普段からメンコをして耳を覆っています。気の小さい馬の場合、人間が気づかないくらいの物を遠くから見て警戒していることがあります。あとで見たら、垣根の下に小動物がいた、とかね。この馬も、そうなったらしばらくはテンションが高くなったりします。でも、基本的には大人しくて、馬房ではよくゴロゴロ寝ています。不器用だから寝起きが不細工で、寝違いそうになるので、心配の種ではあります。
──馬房でも不器用さが(苦笑)。とはいえ、復帰2戦目の新潟大賞典も3着と力のあるところを見せました。
津田 新潟は出して行かずに決め打ちのレースをしたらスローペースになってしまいました。できれば新潟大賞典を勝ってGIに行きたかったですけど、賞金が足りないので鳴尾記念に向かいました。
──その鳴尾記念で復帰後の重賞初制覇を果たしました。道中、ジョッキーがかなり抑えながらでも力を発揮しましたね。
津田 やっぱり力んじゃうんですよね。その後の毎日王冠も、もし馬の後ろに入れられていたら、もう少し頑張れたと思います。そのあたりはジョッキーに任せる部分ですが、どうしても怖がりだから、スペースが空いていたら逃げてしまいます。
▲日本ダービーの舞台に導いた岩田望来騎手と掴んだ2つめの重賞タイトル(c)netkeiba
──引っ掛かるとはまた違う、そういう状況なんですね。さて、いまの状態はどうですか?
津田 帰厩した時から状態はいいです。1月末からCウッドコースに入れているんですけど、調子が良くて寒いこの時期なので、ちょっと太いかなっていうのはあります。ダイエットのためにプールは行っていて、脚元もいまのところ問題ありません。
──京都記念へ向けて意気込みをお願いします。
津田 屈腱炎で2年2カ月の休養がありながらも、大したものだと思います。屈腱炎を発症しているので脚元はいつどうなるか分かりませんが、基礎的な能力が高いのは間違いないんだなと感じています。京都記念は無事に回ってきてくれればそれだけでもありがたいですけど、結果もほしいところです。状態がいいので、期待しています。
(文中敬称略)
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netkeiba特派員
ジョッキーや調教師など、毎週“旬”な競馬関係者にインタビュー。netkeiba特派員がジョッキーや調教師、厩舎スタッフなど、いま最も旬な競馬関係者を直撃。ホースマンの勝負師としての信念から、人気ジョッキーのプライベートまで、ここだけで見せてくれる素顔をお届けします!