2025年02月24日(月) 18:00 24
【Pick Up】コスタノヴァ:1着
2024年の総合種牡馬ランキングはキズナが1位、ロードカナロアが2位。この2頭には「ダートでも稼ぐことができる」という共通点があります。2024年の全日本ダート種牡馬ランキング(中央ダート+地方)において、ロードカナロアは6位、キズナは7位。このランキングは当然、ダート向きの種牡馬が上位に並ぶわけですが、上位10頭のなかでロードカナロアとキズナだけは芝でもトップクラスの成績を挙げています。
ディープインパクトのように芝で図抜けた成績を挙げる種牡馬ならともかく、現在の総合種牡馬ランキングは、芝はもちろんダートでもそれなりに稼げるタイプでないと頂点に立つことは難しいといえるでしょう。
ロードカナロアは、アーモンドアイ、サートゥルナーリア、ダノンスマッシュ、ブレイディヴェーグなどの父。2020年から5年連続で総合種牡馬ランキング第2位となっています。ダートでも、パンサラッサがサウジC(沙G1・ダ1800m)を、レッドルゼルがJBCスプリント(JpnI・ダ1400m)を勝っています。
「ロードカナロア×ハーツクライ」の組み合わせは、コスタノヴァの他に、ケイデンスコール(マイラーズC、京都金杯、新潟2歳S)、トロワゼトワル(京成杯AH2回)、ヴァルディゼール(シンザン記念)、ロードデルレイ(日経新春杯)、タガロア(豪G1ブルーダイヤモンドS)が出ています。ロードカナロアのスピードと、ハーツクライのスタミナがうまくマッチするのでしょう。
2代母トロピカルブラッサムは、ダート向きのサンダーガルチの娘。その影響で、母カラフルブラッサムの半兄ピイラニハイウェイは、ダートの浦和記念と佐賀記念を勝ちました。コスタノヴァの兄弟には、リレーションシップ(阪急杯4着)、ファイアンクランツ(札幌2歳S3着)という芝馬がいますが、コスタノヴァはファミリーに流れるパワー型の資質を強めに表現しています。
コスタノヴァはストームバードのクロスを持つロードカナロア産駒。このパターンは、勝率、連対率、複勝率とも、ダートが芝を上回ります。ダート向きに転化しやすい配合パターンといえるでしょう。今回のレースに出走したエンペラーワケアも、ストームバードの息子ストームキャットのクロスを持つので、配合の方向性が似ています。
【Pick Up】ヘデントール:1着
父ルーラーシップは産駒の芝平均勝ち距離が1859mと長め。ダイヤモンドSの勝利は2021年のグロンディオーズ以来2頭目です。他にキセキ(菊花賞)、ムイトオブリガード(アルゼンチン共和国杯)といったスタミナタイプを出しています。ヘデントール自身、昨年秋に菊花賞で2着と健闘しています。
母コルコバードはオープンクラスまで出世した活躍馬。全5勝のうち3勝を2400mで挙げ、牝馬にしては珍しく芝3000mの阪神大賞典に出走しました。
ヘデントールはデビュー戦で後の皐月賞馬ジャスティンミラノの2着と健闘した素質馬で、唯一馬券圏内に入れなかった青葉賞(8着)は、スタートで出遅れて位置取りが悪くなったことが敗因。手綱を取ったオシェア騎手は短期免許での騎乗初日で、日本の競馬に慣れていませんでした。
「ルーラーシップ×ステイゴールド」という成長力豊かなスタミナ血統だけに、今後この路線のスターホースとなる資格は十分。ステイゴールド産駒の芝平均勝ち距離は1940mです。
【エンドスウィープ】
父は名種牡馬フォーティナイナー、母は米G1を勝ったブルームダンス、母の父ダンススペルは悲劇の名牝ゴーフォーワンド(通算13戦10勝、米最優秀2歳牝馬、同3歳牝馬)の4分の3兄、という良血。
競走成績はダート7ハロンのGIIIを勝った程度でしたが、フロリダ州で種牡馬入りすると大成功を収め、初年度産駒が2歳戦で33頭勝ち上がるという北米新記録を樹立しました。
6年目の種付けシーズンから日本へ移籍。ダート向きだろう、という大方の予想を覆し、アドマイヤムーン、ラインクラフト、スイープトウショウといった芝向きの大物を出しました。残念ながら日本では3世代しか残すことができず、11歳の若さで死亡しました。
マル外として日本で走ったサウスヴィグラスは、JBCスプリントなどダート短距離路線で活躍し、種牡馬としても傑出した成績を残しました。スウェプトオーヴァーボード、プリサイスエンドも似たようなタイプです。
ジャパンC、ドバイデューティーフリー、宝塚記念などを勝ったアドマイヤムーンは、母の父サンデーサイレンスの影響で芝向きの種牡馬に。ただ、距離適性はこの系統らしくスピード方向に寄り、ファインニードル、セイウンコウセイ、ハクサンムーンといった優れた芝スプリンターを出しました。
グローリーヴェイズ、ヘデントール、ノースブリッジなど、母方にエンドスウィープを持つJRAの重賞勝ち馬は10頭以上を数えます。アメリカの若手注目種牡馬ノットディスタイムとその半兄リアムズマップも母の父がエンドスウィープ系です。
「長距離戦で狙って妙味のある種牡馬は?」
2015年以降、芝2500m以上で50走以上し、連対率20%以上、単勝回収率100%以上を記録している種牡馬は、ドゥラメンテとジャスタウェイの2頭しかいません。
ジャスタウェイ産駒は芝2500m以上の重賞で連対した経験はありませんが、ドゥラメンテ産駒はタイトルホルダーとドゥレッツァが菊花賞を制覇するなど大舞台でも結果を残しています。
ちなみに、ドゥラメンテの母アドマイヤグルーヴと、ジャスタウェイの父ハーツクライは、いずれも「サンデーサイレンス×トニービン」という組み合わせ。血統構成の半分がよく似ています。
栗山求
netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG