【杉山晴紀調教師】前走は4馬身差圧勝! ナグルファルの弥生賞出走を選んだ“背景”

2025年03月02日(日) 18:01 75

今週のFace

▲弥生賞ディープインパクト記念に出走予定のナグルファルを管理する杉山晴紀調教師(撮影:小田穂乃実)

弥生賞ディープインパクト記念に挑むナグルファル。前走のエリカ賞では4馬身差をつける圧勝劇を見せ、春に向けて注目を集める1頭です。

今回は皐月賞の前哨戦を前に、管理する杉山晴紀調教師を直撃。2戦の振り返りや追い切りの感触に加え、レース選びの背景などたっぷり伺いました! 多数の活躍馬を輩出する杉山厩舎、エピファネイア産駒の勝ち上がり率が高い理由とは…?

(取材・文:小田穂乃実)

エリカ賞で見せた折り合いは「すごく良かったなと思います」

──初めてこの馬を見た時の印象はどのようなものでしたか。

杉山晴 1歳の秋くらいに社台ファームさんで初めて見ました。本当にエピファネイアらしいというか、ちょっと顔が大きくて、シルエットなんかも胴伸びがあって距離は持ちそうだなという風に見えました。性格も大人しそうだし、やりやすそうだなと感じました。

──実際に調教を進めていき、新馬戦前からかなり手応えはあったのでしょうか。

杉山晴 そうですね。今もそうですが、当時もまだ若い走りというか、体の使い方自体もよく分かってない感じがありました。良く言えば伸びしろ。ちょっと粗削りな感じでした。なので、実戦に行ってどうなるかなというところはありましたね。でもやっぱりポテンシャルが高いので、普通に回ってきて勝ったという感じでした。まだまだ良くなりそうだなという初戦でした。

今週のFace

▲ポテンシャルの高さで勝ちきった新馬戦(c)netkeiba

──2戦目はエリカ賞を圧勝しました。

杉山晴 1度放牧に出てからの参戦でした。1週前に坂井ジョッキーが乗った時に意外と動けなくて、ジョッキーもあんまり追い切りでは良さを感じることができなかったと言っていて、あまりいいイメージを持てなかったようでした。

 新馬戦の時、川田ジョッキーが1週前乗った時は、割と歯切れのいいコメントだったので、もしかしたら1度使って少しバランスなり、体の使い方なりが違う感じになったのかなと、1週前の追い切りの時点では正直心配はしていましたが、実戦に行ったらしっかり走ってくれたのでとりあえずホッとしました。

──レースの内容としてはいかがだったでしょうか。

杉山晴 エピファネイア産駒ということで、1走目より2走目で力が入り過ぎて折り合いとかそのあたりがどうかな、と心配はあったのですが、ジョッキーもうまく最初のコーナーでなだめて、向正面に入る頃には折り合いもついていたので、そこはすごく良かったなと思います。

──今回放牧地から帰ってきて、目に見えた成長はありましたか。

杉山晴 現状はもっとこうなってほしいなという体のトップラインをしていますね。もっと迫力が出てほしいなっていうところはあるんですけど、どちらかと言うとそこのあたりに疲れが出やすいタイプなので、現状はそこがガレてこなければ良しとしています。あとは成長とともに、そのあたりにいずれは古馬らしさが出てきたらいいなというところはあります。

──1週前追い切りは川田騎手が騎乗して行われました。

杉山晴 CWコースで併せ馬をしました。後ろから行きましたが、最初ガツンと行きそうになったところをジョッキーも立て直していいリズムで追い切りができたので良かったです。全体の時計がイメージよりも2つ3つ遅かったですが、逆にしっかりメリハリの利いた追い切りができたことは、今のこの馬にとってむしろプラスだったかなと思います。前向きにはとらえています。

初の長距離輸送への見解は?

──普段馬房ではどんな子なのでしょうか。

杉山晴 大人しいですよ。扱いやすいです。

今週のFace

▲杉山晴師に撫でられるナグルファル(撮影:小田穂乃実)

──現状でこの馬の一番の強みはどのあたりに感じているのでしょうか。

杉山晴 スタートセンスもいいですし、競馬に行ってうまく立ち回ってくれるところですね。長い距離ですが、折り合い面もここ2走はそんなに心配なさそうなので、このままなんとか順調に経験を積んでいってほしいなと思います。

──初めての長距離輸送となりますが、そのあたりはいかがでしょうか。

杉山晴 輸送自体はそんなに心配はしていないですけど、コース替わりというところですね。平坦で競馬してきましたが、今回は坂がありますしね。でも、それを言ってても次も中山ですしね(笑)。うまくこなしてほしいところです。別に坂がダメだなとかそういう印象は、調教の感じではありません。

──杉山晴紀厩舎はエピファネイア産駒の勝ち上がり率がとても多い印象です。先生自身はこの産駒をどう分析してらっしゃいますか。

杉山晴 真面目ですよね。必要以上に追い込まなくてもいいのかなという気はします。思った以上に求めているものを真面目に捉えすぎる性格の仔が多いイメージはあります。

──その中で接し方や、調教方法で意識されていることはありますか。

杉山晴 うちの厩舎のやり方に合っているのかなと思います。あんまりこの産駒だからこうしているということはないです。もっと攻めなきゃいけないなというところも厩舎単位としてはありますが、それがピッタリうまくいっているのかもしれませんね。

──新馬戦後に「この距離で競馬を教えていきたい」と先生はおっしゃっていましたが、今回弥生賞を選択されたというのも、距離的な面が大きいのでしょうか。

杉山晴 そうですね。二千より短くはしたくないなというところがあります。せっかくコーナー4つで2回続けていい競馬ができているので、そのまま流れにのっていきたいなと思います。

──最後にレースに向けての意気込みをお願いします。

杉山晴 勝てば最高ですけど、なんとか権利を取って、距離が延びてもいいと思うので、皐月賞、ダービーと、切れずにいきたいなという気持ちがあります。チャレンジにふさわしい馬だと思うので、頑張ります。

(文中敬称略)

netkeibaアプリで続きを読む

このまま続きを読む

バックナンバーを見る

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

netkeiba特派員

ジョッキーや調教師など、毎週“旬”な競馬関係者にインタビュー。netkeiba特派員がジョッキーや調教師、厩舎スタッフなど、いま最も旬な競馬関係者を直撃。ホースマンの勝負師としての信念から、人気ジョッキーのプライベートまで、ここだけで見せてくれる素顔をお届けします!

関連情報

新着コラム

コラムを探す