2025年04月12日(土) 12:00 18
桜花賞までの流れは、その年によって違っているが、阪神のマイル戦を走ったことがあるかどうかはいつもポイントになってきた。トライアルのチューリップ賞組が目立っていた時期が続いたり、4年前からは阪神JFから直行したものが好走したりと、いずれも桜花賞と同じ舞台で好走した実績が本番で生きていると見られてきた。特に2年続いて阪神JF1着のリバティアイランド、同2着のステレンボッシュが桜花賞馬になっていて、これに4年前の優勝馬5戦全勝のソダシを加えれば、2歳牝馬チャンピオンレースで1、2着になったものには、大きなチャンスがあると見るのは当然だ。
ところが今年は事情がちょっと違う。昨年の阪神JFが、初めて京都のマイル戦として行なわれたので、その勝ち馬アルマヴェローチェの阪神コース、直線の坂への対応がカギになっている。ただ中団後方から最速とそれに次ぐ末脚を発揮した馬が1、2着に入ったように、ペースを見ると先行勢にはやや厳しい流れだった。それに上位の3頭とも前走1800米からの距離短縮組で、加えて内ラチ沿いがかなり荒れるタフな馬場だったので、スピードが生かしにくい状況で、この結果がそのまま本番に結びつくとは判断しにくい。
桜花賞の勝ちタイムは、馬場が良ければ1分32秒台は確実なので、これは判断の基準としたい。これと阪神のコース実績を加えて考えていくと、今年はさらに難しくなってしまう。馬場改装リニューアルの阪神開幕週で行なわれたチューリップ賞が前後半差2秒0のスローペースで、全体としては走破タイムが遅く、レベルに疑問があると考えたくなるのだ。そこで、スピード重視でこれに絞って考えてみたい。
まず、前走クイーンCを1分32秒2のレースレコードで2馬身半差をつけて勝ったエンブロイダリーを。昨年ステレンボッシュで桜花賞を勝っているモレイラ騎手がこの馬で連覇を狙っている。ケイコで乗って、跳びが大きくハイスピードをキープできる馬と評価しており、瞬発力に欠けるこの馬を積極的に動かして導いてくれるだろう。父アドマイヤマーズは朝日杯FSの勝ち馬で祖母の姉に桜花賞馬ブエナビスタがいる血統背景からも期待できる。
スピードという点からは、エリカエクスプレスの能力も高い。中山のフェアリーSを1分32秒8のレースレコードで抜け出して3馬身差で勝って2戦2勝、能力は底知れない。速いペースを好位につけていたレースぶりが光っていた。
この2頭を追って、アルマヴェローチェとビップデイジーの阪神JFの1、2着を加えておく。両馬とも中団から速い上がりタイムで差してくるので、タフな馬場になったときには可能性が高くなる。
「花咲かせ 三冠ロード まっしぐら」
長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。