枠順の影響と外枠のリスク

　中京ダート1800mは癖の強いコース。まず最初にスタートが坂地点のため滑って出遅れる馬が他のコースに比べて多い。スタートから1コーナーまでの距離も短いのでリカバリーも難しく、特にゲート内の挙動が悪い馬は警戒が必要。

そして1〜2コーナー途中から断続的に上っていくことでペースは上がりにくく、残り1000m過ぎから4コーナーを曲がり切るまで下りが続く。3〜4コーナーが下りとなると外を回して仕掛けていった方が良さそうに感じるが、スパイラルカーブとなっているためにそこで仕掛けると外に振られやすく、ダートコースの中では東京に次ぐ長さの直線と急坂があるため基本的にはコーナーで仕掛けるとゴールまで持たない。

　コーナーで外に振られやすい、直線が比較的長いという特徴からも馬群の中にいても最終的に進路が開きやすく、コーナーまで我慢して直線で仕掛ける馬が有利になりやすい。

　内枠有利がかなり周知された分、近年は控除率付近の回収率に落ち着いているが、フルゲートとなると極端な外枠はだいぶ不利であるということは変わりない。

　GIのようなレベルの高い馬が出走するレースになると自ずと走破時計が速くなり、タイムトライアル的な要素が大きくなるので尚更外を回すと厳しいというのはここ数年の結果からも思い知ったところなので、枠順にも結果が大きく左右されることになるだろう。

　そして前述したように、コーナーまで我慢して直線で仕掛ける馬が有利になりやすいというダートコースとしてはかなり異質な条件なので、馬によって得意不得意が極端に出やすい。去年と一昨年が3着まで全く同じ決着となったのはその典型と言える。

　上の表は種牡馬別で出走数が多い順に並べたもので、アメリカから輸入種牡馬を色分けしているが、シニスターミニスターとマジェスティックウォリアーのような揉まれずスムーズな競馬を好む産駒が多い種牡馬はやはり成績を落としていることが分かる。

　逆にそれ以外はホッコータルマエを除いて現役時代は芝で実績を残した馬だが、どの馬も複勝回収率80％以上。基本的に良馬場ダートへの適性が低いエピファネイア産駒でさえもクリアしてしまっているように、溜めてギアチェンジする能力が求められやすいので芝要素の強い血統の方が向いている舞台。

　その中でもキングカメハメハの父であるキングマンボの血を持つ馬は特によく走っていて、このレースでも牝馬ながら勝利したサンビスタをはじめ、ジュンライトボルト・クラウンプライド・ハピ・ドゥラエレーデなどが好走した近3年はウィルソンテソーロ以外の馬券になった馬すべてがキングマンボの血を引いていた。

　ちなみにキングマンボ持ちで今年特別登録時点で除外対象でない馬はアウトレンジ・テンカジョウ・ナルカミ・ペプチドナイル・ペリエールの5頭。人気にならなさそうな馬もいるので紐に入れるのも面白いかもしれない。