このたび「ウマい馬券」でデビューさせていただく鈴木ユウヤと申します。

「鈴木ユウヤ」氏

　略歴としては東京大学文学部を卒業、競馬関連の仕事を経てフリーランスになりました。独立後は主にブログやnoteで「ワイド1点買い」の予想を発信してきました。中央はもちろん南関競馬も好きで、特に思い入れのある1頭はヒガシウィルウィン。ギリギリ20代です。

　今回は自己紹介に代えて「なぜワイド1点買いなのか」と、馬券に対する取り組み方について簡単に説明します。

◆なぜワイド1点買いなのか

　まず認識しておきたいのが「馬券でプラス収支を出すのは難しい」という現実です。

　どの券種にも20％以上の控除率があり、仮に全通りを均等払戻になるよう資金配分して買えば必ず当たって必ず負けます。

　しかも、実態は高配当決着の出現率が極度に低いため「全通り100円ずつ買い」の回収率はもっと悪い数字になります。JRA直近1年でデータを見ると、馬連で62.3％、3連複で53.0％、3連単で55.8％が実測値でした。

　言い換えると「適当に選んだ目」には期待値がせいぜい50〜60％程度しかないということです。シビアに言えば、大半のレースの大半の目は「買うべきでない」。そういう大変厳しい競技なのです。

　だからこそ、勝つためにはごく限られた「買うべき目」を探し、それ以外に触らないのが理想と言えます。これが「1点買い」の根底にある考え方です。

　なお、これを突き詰めると「3連単1点」がベストという話に行きつきますが、的中率が低すぎるとブレが大きく、実力通りの回収率に収束するまで時間がかかります。AI予想ならそれでもいいのですが、人間の場合は大型連敗が続けばメンタルにも影響するわけで、淡々と精度の高い予想をし続けるのは困難でしょう。

　そのあたりのバランスを考慮してワイドをメイン券種としています。といってもこれは「縛り」ではないので、状況によって馬連や単勝を使うケースや、押さえを1〜2点設けることもあります。

◆「30cmのハードル」を探す

　馬券という競技において、我々が意思決定できる要素は以下の4つあると考えています。

1.レース選び
2.馬選び(≒予想)
3.買い目選び
4.購入金額の決定

　予想はもちろん大事ですが、そもそも「どのレースに参加するか」の選択から勝負は始まっています。

「投資の神様」ことウォーレン・バフェット氏は、自身の成功要因について問われ、以下のように答えたと言われています。

「飛び越えられるであろう30cmのハードルを探すことに精を傾けたからであり、2mのハードルを越える能力があったということではない」

　わたしはこの「30cmのハードル」という言葉が好きです。競馬でも(自分にとって)簡単に仕留められそうなレースを選び、そこに注力することが肝要だと考えています。

　また、予想をした上で「いくら買うか」を調節することも侮れません。ポーカーなら手役に応じてチップを増減させる、麻雀なら配牌や場況で押し引きするのが当然ですが、馬券は「1レース◯◯円」と一定の単価で買う人が結構いると思います。わたしも以前はそうでした。金額にメリハリをつけ、自信がないレースでの失点を絞るだけでも収支はそれなりに改善します。

◆「いい予想」とは凡事の徹底である

　最後に予想についてですが、正直これといって特別な手法は用いていません。

　手順は2段階で、まず馬場と展開の読みから有利なポジションを絞り込む「ヤマ張り」をします。そこに沿う馬を中心に、各馬の能力や個性、近走の不利不得手不遇(と、そこからの条件好転)を精査して買う馬を決めます。……まあハッキリ言って普通ですよね。狙う馬も上位〜中位人気馬が中心で、突拍子もない大穴から買うことは少ないです。

　大穴狙いや独自理論といった華のある予想もいいのですが、収支だけにこだわるなら個人的にはそういう派手さは不要だと思っています。上位人気馬の取捨を基本として、当たり前のことを丁寧にやる。凡事の徹底こそが「いい予想」というポリシーです。

　したがって個々の予想は一見地味な結論が多くなるかもしれませんが、トータルで安定した好結果を残せるよう取り組んでいきます。よろしくお願いします！