【阪神JF AI予想】今週は見解が一致! AIの注目馬はレースの傾向からも魅力十分

2025年12月08日(月) 18:00

netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。

(文・構成=伊吹雅也)

大きく崩れた人気馬がそれなりにいる点をどう見るか

AIマスターM(以下、M) 先週はチャンピオンズCが行われ、単勝オッズ7.3倍(3番人気)のダブルハートボンドが優勝を果たしました。

伊吹 強かったですね。好スタートを決めて序盤の先行争いを主導し、向正面ではウィリアムバローズ(16着)とシックスペンス(11着)を先に行かせる形で好位のポジションを確保。人気の中心だったナルカミ(13着)がすぐ後ろでマークしていたものの、3コーナーから4コーナーで前の2頭を捕らえにかかり、残り200m地点のかなり手前で単独先頭に躍り出ています。その後、外からメイショウハリオ(4着)とラムジェット(3着)が、内からウィルソンテソーロ(2着)が迫り、最後はウィルソンテソーロとの一騎打ちに。そのまま失速することなく並んで入線し、ハナ差だけ先着しました。2頭が並ぶまでの脚色を見た時点で「これはウィルソンテソーロが勝ったな」と思っていただけに、そこから併入に持ち込んだことも、結局クビの上げ下げで勝ち切ったことも、私からするとあまりに衝撃的。単純に能力が頭ひとつ抜けていたと言わざるを得ません。陣営や鞍上の坂井瑠星騎手にとっても印象深い勝利となったのではないでしょうか。

M ダブルハートボンドは今回のレースが通算8戦目。3歳だった昨年の8月にデビューし、前走のみやこSで重賞初制覇を果たしたばかりでした。

伊吹 2走前のブリーダーズゴールドCで2着に敗れてしまったとはいえ、JRAのレースや1800mのレースに限れば未だ無敗。みやこSではダ1800mのJRAレコードを更新しましたし、フォーエバーヤングやミッキーファイトがいる現在の日本競馬界においても、現役最強ダート馬の座を狙えるだけのポテンシャルは十分にあると思います。

M そうなると、今後が非常に楽しみですね。

伊吹 母のパーシステントリーは現役時代にパーソナルエンサインS(米GI)を勝った実績のある馬。脚部不安を抱えている馬なので何とも言えないところはありますが、国外の大舞台でも十分に通用するのではないでしょうか。もちろん、身近な国内で順調にレースを使ってくれるのであれば、それはそれで嬉しい話。何かとんでもない大記録を打ち立ててくれるかもしれません。馬券的にどう扱っていくかもイメージしつつ、動向をしっかりチェックしていきたいと思います。

M 今週の日曜阪神メインレースは、2歳牝馬チャンピオン決定戦としておなじみの阪神JF。昨年は単勝オッズ10.5倍(5番人気)のアルマヴェローチェが優勝を果たしました。ちなみに、その2024年は単勝オッズ18.3倍(8番人気)のビップデイジーが2着、単勝オッズ16.3倍(7番人気)のテリオスララが3着という結果で、3連単22万7500円の好配当決着。波乱の目もあると見ておいた方が良いのでしょうか。

伊吹 過去10年の阪神JFにおける3連単の配当を振り返ってみると、平均値は7万308円、中央値は3万505円。荒れやすいとまでは言えないものの、2021年が11万4300円、2022年が17万8460円と、近年になってやや高めの配当となる年が増えてきた印象です。

M 過去10年の単勝人気順別成績を見ると、1番人気馬10頭のうち5頭が優勝を果たしている一方で、残る5頭はすべて4着以下に敗退。人気を集めている馬の見極めが重要な一戦と言って良いかもしれませんね。

伊吹 より実態に即した区切り方をすると、単勝2番人気から単勝4番人気の馬は2015年以降[4-4-7-15](3着内率50.0%)、単勝5番人気から単勝10番人気の馬は2015年以降[1-5-3-51](3着内率15.0%)、単勝11番人気以下の馬は2015年以降[0-1-0-77](3着内率1.3%)となっていました。たびたび波乱が起きているとはいえ、単勝二桁人気クラスの伏兵が馬券に絡んだ例はほとんどありませんから、そのあたりも踏まえたうえで買い目を組み立てるべきだと思います。

M そんな阪神JFでAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、スターアニスです。

伊吹 なかなか面白いところを挙げてきましたね。それなりの支持は集まると思いますが、人気の中心ということはなさそう。

M スターアニスはキャリア3戦。デビュー戦では5着に敗れてしまったものの、2走前の未勝利で難なく勝ち上がりを果たし、前走の中京2歳Sでも勝ち馬キャンディードとクビ差の2着に食い込んでいます。

伊吹 牡馬相手、かつレコード決着だったことを考えると、中京2歳Sはかなり高く評価できる内容。さらに、今年は重賞ウイナーが一頭も参戦していません。まだ1600mのレースを使ったことがないとはいえ、能力の高さで押し切ってしまう可能性も十分にあるはず。おそらく、Aiエスケープもそう判断したのでしょう。この見立てを踏まえたうえで、好走馬の傾向とスターアニスのプロフィールを見比べていきたいと思います。

M 真っ先に注目しておくべきポイントはどのあたりですか?

伊吹 まずはノーザンファーム生産馬の活躍が目立っている点を押さえておきたいところ。2020年以降の過去5年に限っても、3着以内馬15頭のうち9頭を占めていました。

M 好走率にも結構な差がありますから、相応に高く評価するべきでしょうね。

伊吹 なお、生産者がノーザンファーム以外、かつ“東京の、重賞のレース”において上がり3ハロンタイム順位が4位以内となった経験のない馬は2020年以降[0-1-1-54](3着内率3.6%)。アルテミスSや京王杯2歳Sで善戦した差し馬を除くと、生産者がノーザンファームでない馬はあまり上位に食い込めていません。

M 今年の阪神JFに特別登録を行った26頭のうち、ノーザンファーム生産馬は7頭だけ。そして、スターアニスはそのうちの一頭です。

伊吹 あとは末脚の安定感もチェックしておいた方が良さそう。同じく2020年以降の3着以内馬15頭は、いずれもJRAのレースにおいて上がり3ハロンタイム順位が5位以下となった経験のない馬でした。

M はっきりと明暗が分かれていますね。

伊吹 逆に言うと、過去5年の好走馬は、デビュー戦以降の全レースで出走メンバー中4位以内の上がり3ハロンタイムをマークしていたということ。一度でも大きく崩れてしまったことがある馬や、先行力の高さを活かしたいタイプは強調できません。

M スターアニスは過去3戦すべてで出走メンバー中2位以内の上がり3ハロンタイムをマークしている馬。この点もポジティブな要素と見て良いでしょう。

伊吹 さらに、同じく2020年以降の3着以内馬15頭中14頭は、3月以前に生まれた馬でした。

M 比較的早い時期に生まれた馬が中心、と。

伊吹 生月が4月以降だったにもかかわらず3着以内となったのは、2021年3着のウォーターナビレラのみ。完成度が高そうな馬を選んだ方が良いと思います。

M こちらも2月4日生まれのスターアニスとっては心強い傾向です。

伊吹 もともと私もこの馬には重いシルシを打つつもりでした。Aiエスケープが高く評価しているのならばより楽しみ。当初の想定よりも距離適性を不安視されている印象ですし、絶好の狙い目かもしれません。実際のオッズや他に有力視している馬との力関係も考慮したうえで、最良の買い目を模索していきたいと思います。

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伊吹雅也

競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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