【無料・朝日杯FS予想】好メンバーが揃った一戦 勝負のカギは“追走力”

2025年12月20日(土) 12:00

雨が降っても外差しにはならない!?

編集下M(以下、M) 先週は『ウマい馬券』で無料予想を担当し、安井涼太さんとのライブ出演もありましたが、阪神JFは◎スターアニスで的中。お見事でした。

立川優馬

阪神JFの『ウマい馬券』

立川(以下、立) ありがとうございます。実はこの予想も今回触れる内容を生かしてのものでした。当然、今週の朝日杯FSにも通じているので是非、活用してください。

M それが『「今週勝つ!」を叶える馬券カレンダー』12月第3週のテーマ、『近年の含水率の高い渋った阪神芝が「内枠先行有利」に傾くメカニズム』ですね。

立川優馬

12月第3週の狙い方。『「今週勝つ!」を叶える馬券カレンダー』(画像は電子版)より

立  「最近、外差し馬場を見ないなぁ」と思いませんか?

M 確かに。以前はローカルの開催後半は7枠と8枠を狙うだけでも結構美味しい馬券を獲れましたが、最近は「結局、内かい!」「結局、人気馬かい!」ということが多い気がします。

立  その感覚は間違っていませんよ。今年だけを見ても、馬場の内目が荒れて外差し馬場になったというケースは春の中京や夏の新潟くらいで、中央場所ではほぼ見られていないはずです。唯一東京のみ、持続力寄りの馬場造成で差し届くようになった分、結果的に外を回す差し馬が恵まれることはありますが、あくまで全体的な馬場造成の話で、馬場の悪化によるものとは一線を画します(東京の馬場造成については書籍の2月2週で触れています)。

M 10年前、20年前とは馬場保全の技術が全然違うでしょうしね。

立  それでも、人間に染み付いた固定観念というのはなかなか取れないもので、雨が降ると外枠が有利になるのではないか、差しが届くのではないかという気持ちになってしまいます。かくいう私も、さすがにこれだけ降れば……などと思うことは少なくありません。そうしたときには、雨の降る前の状況がどのような馬場かに注目すると予測がしやすくなります。

M 雨の降る前の状況…?

立  近年の阪神芝は、京都競馬場改修によるロングラン開催に備えた硬い馬場造成→阪神改修を経て現在の状況を迎えています。また、それ以前から阪神芝はほかの競馬場に先駆けて超高速馬場が続いていました。ここで言う「超高速馬場」とは、「全体時計が速く、上がりも速い馬場」のことです。こうした馬場では、時計が速い馬場なので内枠先行有利になりやすい一方で、スローペースの末脚勝負になると切れ味上位の差し馬が届いたり、高速決着で追走が楽な一方で、流れすぎると途端にオーバーペースの前崩れが起こったりしていました。その結果、阪神芝は以前に比べると傾向が大きく変わっているのですが、その辺りについては著書をご参照ください。

M そして本題というか今回のテーマが『近年の含水率の高い渋った阪神芝が「内枠先行有利」に傾くメカニズム』です。

立  タイトルの通り、阪神芝の「超高速馬場」は、雨が降って含水率が高くなるほど「内枠先行有利」に傾いていきます。ではなぜ、そのようになるのか。

 レース質マトリックスでは、脚質の有利不利を「直線入口で先行馬が築いているポジション差を、差し馬がゴール前直線の距離だけで埋め切ることができるかどうか」で判定しています。つまり、逃げ馬が強かろうが弱かろうが、差し馬が直線入口を先頭で通過した馬を差し切れなければ前が残るということです。脚質とは絶対的な位置取りの話ではなく、相対的なポジションの差の話であると捉えているわけです。したがって、差し馬がポジション差を埋めきれない要素が増えれば増えるほど「先行有利」になります。

M つまり含水率が高く馬場が渋ることは、「ポジション差を埋めきれない要素」に当てはまると。

立  先ほど超高速馬場とは「全体時計も上がりも速い馬場」であると説明しました。ここに雨が降るとどうなるか。多くの場合、全体時計の悪化よりも上がりの悪化のほうが大きくなります。カンタンに言うと、「時計は速いのに、上がりが出ない馬場」になるということです。そうなると、直線の末脚で先行馬との差を埋めたい差し馬にとっては不利に働いてしまいます。語弊を恐れずに言うと、「脚が遅い馬に有利」になるのですが、先行馬とは脚が遅い馬=末脚の切れ味で勝負できないのでポジションで勝負する馬なので、先行有利になりますよということです。

M なるほど。例えば逃げ馬Aは上がり34.5秒が限界で、差し馬Bは33.5秒の上がりを使えるけれど、渋って物理的に上がり33.5秒を出せない馬場になったら、差し馬Bのアドバンテージは失われますもんね。

立  先週の阪神JFでスターアニスに◎を打ったのは、当日朝まで雨が降って含水率が高い馬場になることで、上がりが速い差し馬は不利になると考えたためです。特に、逃げ候補の内側に入ったアランカール、ギャラボーグ、アルバンヌの3頭はこぞって上がり3F33秒台の末脚を武器に人気を背負っていましたが、隊列的に被せられて一旦下がってからの差し競馬にならざるを得ないので差し届かないと判断し、外枠から自然に位置が取れるスターアニスとタイセイボーグを評価。結果的に川田騎手のすばらしい進路取りと短縮を生かしてギャラボーグは2着に好走しましたが、切れ脚勝負の馬よりも持続力に長けた馬が上位に入線したのです。

前走で追走力の担保を見せたカヴァレリッツォ

M 今週の朝日杯FSも先週同様、阪神芝1600mを舞台に行われます。

立川優馬

阪神芝1600mの立川式コース図

立  今週の阪神も土日で雨の予報が出ています。朝日杯FSにおいても、含水率が高い馬場になれば、後方から末脚勝負というタイプの馬は大きく割り引いて捉えるほうがよいでしょう。

M 今年は好内容で重賞を勝ってきた馬も多く、上位拮抗という前評判です。

立  人気馬の比較で言えば、デイリー杯2歳Sをレコードで駆け抜けたアドマイヤクワッズとカヴァレリッツォの比較では、前走で追走面での担保を見せたカヴァレリッツォのほうを上位に取りたいところ。また、新潟2歳Sを番手から上がり3F33.4を使って0.7秒ちぎったリアライズシリウスは位置取り次第で評価できますが、緩い流れのサウジアラビアRCですら追走に苦しんでいたエコロアルバは間に合わない可能性が高いと判断できます。

M 枠順の有利不利についてはいかがですか?

立  枠順については、逃げ候補がどの枠に入っているかによりますが、基本的には内枠からラチ沿いを走れるほうが有利。メンバーを見ても阪神JFほどは流れないはずなので、素直に内目前目を立ち回れる馬を評価したいですね。

M カヴァレリッツォは『POG直球勝負2025-2026』の取材時に厩舎長の方が「筋肉の質、走りの質が過去の活躍馬に通じている」と教えてくださった馬。シャフリヤールやクロワデュノールを手掛けた方の言葉なので、めちゃくちゃ信憑性がありますよね。内枠を引いたら、今週こそ大勝負します!

 枠順を見た感想は阪神JFに似ているなということ。外枠にテンに速い馬が入り、内枠に追走経験のない差し馬が入ったことで中〜外枠勢が恵まれそう。また、雨の影響で上がりが出にくくなり、やや直線向かい風強めの予報も考慮すると、深い位置からの差しが届かないのも同じかなと。

 であれば、外目の枠から好位追走できる馬を最上位評価するので、8番枠に入って位置が取れるカヴァレリッツォには絶好の枠並びになりました。12番枠のアドマイヤクワッズや13番枠のリアライズシリウスよりも前で立ち回れるのはプラスでしょう。また、この2頭も10、11の先行馬の外で競馬はしやすいはず。

 一方で、エコロアルバは外枠主導濃厚な隊列の内枠を引いて、一旦下げて外回し濃厚なのでまず間に合わないと見ます。人気どころで軽視するならここでしょう。正直、外の人気馬で堅そうではありますが、穴をねらうなら3連単の3列目に外枠人気薄が紛れてくるフォーカスはありですね。

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立川優馬

人気予想家の立川優馬氏が著者である『「今週勝つ!」を叶える馬券カレンダー』を実践していくものとなります。 その週の重賞で勝つために参考になる情報が満載となるコラムとなっておりますので、ぜひご覧ください!

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