カヴァレリッツォが朝日杯FSを制覇 「シーザリオの息子×ハーツクライ」は注目の血統構成

2025年12月22日(月) 18:00

血統で振り返る朝日杯FS

【Pick Up】カヴァレリッツォ:1着

 父サートゥルナーリアは今年、JRAで5つめの平地重賞制覇となりました。この数字はキズナ、ロードカナロア、ドゥラメンテに次ぐ第4位で、兄のエピファネイア、リオンディーズを上回っています。初年度産駒がまだ3歳であることを考えればきわめて優秀です。おそらく来年は兄2頭と一緒に種牡馬ランキングのベスト10に入ってくるでしょう。それらの母シーザリオの偉大さをあらためて想わずにはいられません。

 母バラーディストはサトノフラッグ(弥生賞)、サトノレイナス(桜花賞-2着、阪神JF-2着)をきょうだいに持つ良血。2代母バラダセールはアルゼンチンの3歳牝馬チャンピオンです。バラーディストの全姉2頭、バラダガールとダンサールはいずれも繁殖牝馬として成功しており、前者はニューバラード(3勝クラス)の、後者はカラマティアノス(共同通信杯-2着)の母となっています。活力旺盛なこのファミリーは今後も活躍馬を出し続けるはずです。

 母方にハーツクライを持つサートゥルナーリア産駒は成功しており、ファンダム(毎日杯)、フェスティバルヒル(ファンタジーS)、コートアリシアン(新潟2歳S-2着、ニュージーランドT-3着)といった活躍馬が出ています。同日の阪神5R新馬戦(芝1800m)を勝ったトリニティも「サートゥルナーリア×ハーツクライ」でした。

 ちなみに、「エピファネイア×ハーツクライ」はエフフォーリア、ジョスラン、ヴァルキリーバースを、「リオンディーズ×ハーツクライ」はミュージアムマイル、インダストリアを出しています。「シーザリオの息子×ハーツクライ」の配合は注目です。

血統で振り返るターコイズS

【Pick Up】ドロップオブライト:1着

 トーセンラー産駒の重賞勝利はキャンディードの中京2歳S以来4ヵ月ぶり。今年2勝目です。

 ディープインパクト産駒のトーセンラーは、現役時代にマイルCSなど3つの重賞を制覇しました。スピルバーグ(天皇賞(秋))、フラワーアレイ(トラヴァーズS)をきょうだいに持つ超良血です。後者は本邦輸入種牡馬アイルハヴアナザーや、ラッキーライラックの母ライラックスアンドレースの父です。

 ドロップオブライトの母プレシャスドロップは繁殖牝馬として成功しており、JRAで出走を果たした9頭の仔のうち、プレシャスエース(オーバルスプリント-4着)、テンテキセンセキ(3勝クラス)を含めて5頭が勝ち上がっています。

 母方にニジンスキーを持つトーセンラー産駒は、ドロップオブライトの他にザダル(エプソムC、京都金杯)、アイラブテーラー(京阪杯-2着)、アケルナルスター(福島記念-5着)などが出ているニックス。連対率16.4%、1走あたりの賞金額215万円は、トーセンラー産駒全体の10.9%、114万円をそれぞれ大きく上回っています。サンデーサイレンスとフレンチデピュティを併せ持つ配合構成は繁殖牝馬としても好ましく、母となってからも期待できます。

知っておきたい!血統表でよく見る名馬

【ノットディスタイム】

 2025年12月20日現在で北米種牡馬ランキング第2位。2026年の種付け料はイントゥミスチーフ、ガンランナーと肩を並べる25万ドルに設定されました。アメリカを代表する名種牡馬の1頭です。7年連続北米リーディングサイアーの座を確定的としているイントゥミスチーフより9歳若く、年が明けてもまだ12歳。いずれ首位に立つ可能性も大いにあるでしょう。

 現役時代にイロコイS(米G3)を勝ち、BCジュベナイル(G1)はクビ差2着。2歳時のわずか4戦で競走生活を終えました。

 父は米リーディングサイアーのジャイアンツコーズウェイで、ストームキャット系に属しています。リアムズマップ(BCダートマイル、ウッドワードS)の半弟にあたり、2代母ヤダヤダは女傑タウィー(ドクターフェイガーの半妹で2年連続米最優秀スプリンター)を2×3で持っています。この異様な牝馬クロスがリアムズマップとノットディスタイム兄弟の活力の源となっていると思われます。

 種牡馬としては弟のノットディスタイムのほうが上(兄は現時点で北米種牡馬ランキング17位、2026年の種付け料は5万ドル)。アップトゥザマーク(米最優秀芝牡馬)、エピセンター(米最優秀3歳牡馬)、シベリウス(ドバイゴールデンシャヒーン)などコンスタントに活躍馬を出しています。

 ダートだけでなく芝でも走れるのがセールスポイント。配合次第でさまざまな距離適性の仔を出しています。日本ではロッシニアーナがダート路線で活躍しており、現在3勝クラスに在籍しています。デルマーデビュタントS(米G1・ダ7ハロン)を勝った牝馬プリンセスノーアはわが国に輸入されて繁殖牝馬となり、キタサンブラックとの交配でプラウディッツを産みました。12月20日の中山新馬戦(芝2000m)を快勝しています。

血統に関する疑問にズバリ回答!

「種牡馬の年間最多勝記録は?」

 中央競馬ではサンデーサイレンスが2004年に記録した328勝が歴代最多勝です。地方競馬はサラブレッド競馬に限定するとサウスヴィグラスが2018年に記録した432勝が最高です。

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栗山求

netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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