2006年10月24日(火) 23:52
今年のブリーダーズCは、馬産地ケンタッキーのチャーチルダウンズで、11月4日(土曜日)に行われる。そしてその翌日、5日(日曜日)がファシグティプトン主催の「ノヴェンバー・セレクトセール」で、6日(月曜日)からキーンランドの「ノヴェンバーセール」と、ケンタッキーは一気にブリーディングストック・セールの季節に突入する。
ブリーダーズCに出走した牝馬が、直後の牝馬セールに上場されるというケースは毎年のように見られているが、今年はBCの舞台がケンタッキーということもあって、例年以上にBC有力馬のセールへのエントリーが目立っている。
例えば、5日のファシグティプトンセールの上場番号97番は、「マイル」に出ても「フィリー&メアターフ」に出ても上位人気確実のゴレラ(牝4歳)である。昨年はマイルに出て3着だったゴレラ。今季も好調で、8月にアーリントンで行われたG1ビヴァリーディーSを、後方から目の覚めるような末脚を発揮して差し切り勝ち。前走10月14日にキーンランドで行われたG2ファーストレディSもきっちりと勝ち上がって、万全の体調で11月4日を迎えようとしている。
同じファシグティプトンセールの、上場番号100番は、「フィリー&メアターフ」で3、4番人気が予想されるハニーライダー(牝5歳)だ。10月7日にベルモントで行われた「フィリー&メアターフ」に向けた東海岸の最終プレップ・G1フラワーボウルSの勝ち馬で、これが自身7度めの重賞制覇という、ここ2シーズンほど北米牝馬芝路線の中心勢力として頑張ってきたA級馬である。
同じファシグティプトンセールの、上場番号241番も、「フィリー&メアターフ」の有力馬ヴァカーリー(牝3歳)だ。10月14日にキーンランドで行われた、「フィリー&メアターフ」に向けたケンタッキーの最終プレップ・G1クイーンエリザベス2世チャレンジCの勝ち馬ヴァカーリー。デビューは今年の6月と遅かったが、クイーンエリザベス2世チャレンジCまで4戦無敗で来ている、この路線の超新星である。
キーンランドセール初日の6日に登場する上場番号85番は、「ディスタフ」で1番人気になること確実のフリートインディアン(牝5歳)である。今季はここまで6戦いずれも重賞を使われて、負け知らずの6勝。8月25日のパーソナルエンサインS、10月7日のベルデイムSと目下G1・2連勝中で、今年のBC8レースの中でも最も固い本命と言われている馬である。
日本で言えば、秋華賞やエリザベス女王杯の直後に、カワカミプリンセスやスイープトウショウが上場されるようなもので、セールがヒートアップするのも自明の理なのだ。牝馬が上場されるセールだけに、BC有力馬の母も多数エントリーされている。
ファシグティプトンセールの上場番号30番は、10月7日にベルモントで行われた「ターフ」に向けた東海岸の最終プレップ・G1ターフクラシックの勝ち馬で、「ターフ」の上位人気が確実視されているイングリッシュチャネルの母ベルヴァだ。同じファシグティプトンセールの上場番号126番は、今季西海岸の古馬3大G1を総ナメにし、「クラシック」の有力馬となっているラヴァマンの母リルミズレオナルドである。G1ドバイデューティーフリー、G1エクリプスSの勝ち馬で、「クラシック」に挑むデヴィッドジュニアの母パラダイスリヴァーも、5日のファシグティプトンセールに上場番号170番としてエントリーしている。
6日のキーンランドセール初日には、「スプリント」の有力馬サイレンルアーの母カンタマール(上場番号42番)、「ディスタフ」の有力馬スパンシュガーの母アイリッシュチェリー(上場番号131番)、「スプリント」の有力馬ポメロイの母クエストレス(上場番号230番)、同じく「スプリント」の有力馬ドバイエスカペイドの母サッシーパンツ、やはり「スプリント」で有力視されているアティラズストームの母スウィートシンメトリーらがエントリー。
更にキーンランドセール2日目にも、「フィリー&メアターフ」の有力馬ダンシングエディーの母ダッチェスオヴアック(上場番号382番)、「ディスタフ」の有力馬ハッピーチケットの母ラヴアンドハピネス(上場番号458番)らが、上場を予定している。BCで好走して益々価格の上昇する馬もいるはずで、BCはそういう観点から見ても、非常に面白いイベントなのである。
バックナンバーを見る
このコラムをお気に入り登録する
お気に入り登録済み
お気に入りコラム登録完了
合田直弘「世界の競馬」をお気に入り登録しました。
戻る
※コラム公開をいち早くお知らせします。※マイページ、メール、プッシュに対応。
合田直弘
1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。