2006年11月07日(火) 23:52
先々週のこのコラムで、北米のケンタッキーで開かれる牝馬セールの豪華な上場馬について触れたが、11月27日から英国ニューマーケットで開催される欧州最高の牝馬セール「タタソールズ・ディセンバーセール・part3」のカタログも、なかなかに豪華である。
既に産駒からG1勝ち馬が出ている繁殖牝馬では、上場番号1974番の9歳牝馬エキサイテングタイムに、購買者の熱い視線が集まりそうだ。本馬は、今年のG1ビヴァリーディーS勝ち馬ゴレラの母なのである。現在お腹に受胎しているのが、愛2000ギニーなどG1・3勝を挙げて引退し、来年生まれてくる子が初年度産駒となる期待の新種牡馬ドバウィーというのも魅力である。
来年の春には、クラシックホースの母となっているかもしれないのが、ハランドパークラス(上場番号2269番、トゥブーグを受胎)だ。今年2歳になった初子のダッチアートがG1ミドルパークSを制し、来年の二千ギニーに向けて8倍から11倍のオッズで3番人気に推されているのである。同様にして、今年のG1チーヴァリーパークS勝ち馬で、来年の1000ギニーの前売りで21倍から26倍のオッズが付いているインディアンインクの母メイドオヴキリーン(上場番号2133番、アザムールを受胎)、今年のG2シャンパンS勝ち馬で、来季の2000ギニーの前売りで26倍から34倍のオッズが付いているヴァイタルエクワインの母バヤリカ(上場番号1773番、インヴィンシブルスピリットを受胎)らにも、購買者の注目が集まりそうだ。
上場番号2273番のスペシフィカリーは、今年の英1000ギニー勝ち馬スペシオーサの母である。なおかつ、現在受胎しているのがデインヒルダンサーだから、来春にはスペシオーサの全弟か全妹が生まれることになる。日本人購買馬としては、先々週のG2武蔵野S勝ち馬で、来春のドバイ遠征を目論むシーキングザベストの母マッキー(上場番号1977番)が上場されるのも、見逃せない。マッキーは現在、アンブライドルズソングを受胎中である。
自身が現役時代G1勝ちの実績がある馬では、一昨年のG1チーヴァリーパークS勝ち馬マジカルロマンス(上場番号1945番)に、大きな注目が集まりそうだ。本馬の1つ下の妹が、今年英愛オークスに加えて、G1ヨークシャーオークスをもっていったアレグザンドローヴァという超良血で、受胎しているのも現在欧州で最もファッシナブルな種牡馬の1頭であるピヴォタルである。
現役競走馬の目玉は、今年の英国オークス3着馬ショートスカート(上場番号1683番、父ディクタット)か。マイケル・スタウト厩舎の管理馬で、オークストライアルのG3ミュージドラSを制した後、オークスは惜敗。その後古馬とぶつかったG1ヨークシャーオークスでも2着となった、現役屈指の実力派牝馬である。本馬の姉に、ポモーヌ賞など重賞2勝のホワイトウォーターアフェアがいて、その産駒に安田記念の勝ち馬アサクサデンエンや、秋の天皇賞2着馬スウィフトカレントがいるという血統だから、出来れば日本の方に御購買いただいて、日本で繁殖入りしてほしいものだ。もちろん、来年もスタウト厩舎に置いて、現役で使っても面白い存在である。
G2ジャンロマネ賞など重賞3勝、凱旋門賞当日に行われたG1オペラ賞でも勝ったマンデシャから僅差の2着となったサトワクイーン(上場番号2028番、父ムータティール)、今年のG1独オークス馬アルメリタ(上場番号2357番、父メディシアン)、今年の愛1000ギニーで2着となったアードブレイレディー(上場番号2353番、父オーヴァーブリー)、今年9月のG1チーヴァリーパークSで2着となったダンヤタ(上場番号1713番、父デインタイム)、今年のG2リッジウッドパールを勝った4歳牝馬パウト(上場番号1545番、父ナミド)、昨年のG1チーヴァリーパークを勝った3歳牝馬ドンナブリニ(上場番号1720番、父バートリーニ)なども、注目の上場馬である。
このセールには筆者も取材に出向く予定なので、終了後にはぜひ結果報告をさせていただきたい。
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合田直弘
1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。