ディセンバーセールで欧州牝馬歴代最高価格誕生

2006年11月28日(火) 23:52

 11月27日(月曜日)にスタートした、欧州最高のブリーディングストックセール「タタソール・ディセンバーセール・Part3(牝馬セッション)」の取材で英国ニューマーケットに出向いている。セールは30日(木曜日)まで予定されており、今現在も進行中なのだが、初日の27日にとんでもない価格が飛び出したので、これについてお伝えしたい。

 上場番号1695番として上場された、今年のG1サンチャリオットS勝ち馬スピニングクイーンが、300万ギニー、およそ7億円という、ディセンバーセールの歴代最高価格で購買されたのである。

 父がG1BCマイル、G1愛2000ギニー、G1ムーランドロンシャン賞などを制してチャンピオンマイラーの称号を獲得したスピニングワールドで、叔父にG1ハリウッドダービー勝ち馬ラビーブ、G1アーリントンミリオン2着馬ファンモアらがいるという血統的背景を持つスピニイングクイーン。英国のトップトレーナーのひとり、バリー・ヒルズの管理下に入った彼女は2歳時から頭角を現し、昨年7月にニューマーケットで行われたG2チェリーヒントンSで3着に入着。3歳を迎えた今季、1000ギニートライアルのG3ネルグウィンSなどで入着を果たした後、ニューマーケットのG1サンチャリオットSを逃げきって、G1制覇を果たした。

 彼女を共同所有する、カナダ在住の馬主ディック・ボニーキャッスル氏と、マーストンスタッドのウェルスレイ夫妻がパートナーシップを解消することになったため、このセールに上場されることになったスピニングクイーン。日本の大手牧場や、シェイク・モハメドの代理人ジョン・ファーガソン氏を含む、複数の購買者による激しい争奪戦に末、ロンドンを拠点とするエージェントのジェームス・ウィガン氏が、300万ギニーで落札に成功した。

 ディセンバーセールにおけるこれまでのレコードは、1997年に牝馬ダンスデザインが購買された時と、同じ年の当歳セールで後のパドゥアズプライドが購買された際の250万ギニー。牝馬としては、イヤリングも含めて、ニューマーケットで購買された歴代最高価格となった。更に牡馬のイヤリングを含めても、後に香港でG1を制覇するリヴァーダンサーが購買された時の340万ギニーに次ぐ、歴代2番めという高価格であった。ウィガン氏は、購買した馬主の名を公表することを避けたが、スピニングクイーンは今後、バッキンガムシャーにあるロスチャイルド家所有の生産牧場ワッデンスダン・スタッドで、繁殖入りするとのこと。初子のデビューは早くても2010年になるが、スピニングクイーンがどんな子を出すかに大いに注目したい。

 牝馬セッション初日の平均価格が80%以上上昇するという、驚くべき好況となっているディセンバーセール全体の回顧は、セール終了後にお届けしたい。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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