2006年12月01日(金) 18:00
11月の3200mの豪G1メルボルンCをデルタブルース、ポップロックが1〜2着。世界的な距離の短縮化が進み、もちろん日本でもステイヤーの少なくなった最近だが、3200mの春の天皇賞があり、3000mの菊花賞を大事にする日本の競馬界。パートI国入りしたいま、ただ興行化の波に押されるように短縮化の進む世界の競馬サークルに、もう主張を通してもいいだろう。ヨーロッパ、アメリカの競馬の最近10年ぐらいを一応の世界の競馬の頂点として据えると、単にレーティングうんぬんではなく、明らかにサラブレッドは少し弱くなりつつある。アメリカでも、欧州でもその声は非常に大きい。理由の1つがスピード化にあることは疑いもなく、競技の歴史を振り返っても推測できるように、しだいに距離を短く縮め、さらにもっと短くしようなどとするような動きは、どこかピントがズレている危険が大きい。少なくとも種の存続と進化には大きな足かせで、スプリンターとスプリンターの配合がとんでもない凡馬を送るケースが続出するように、競走の中心は1600m〜2400mとしても、より長い距離もこなせる長距離型を大切にしないと、次の代に一気のレベルダウンが待っている。
デルタブルース、ポップロックが快走の先鞭(先駆け)をつけた形になったアイポッパーの底力に期待する。マカイビーディーヴァの3連覇のために大量の水をまかれたといわれる05年秋のメルボルンCを別にすると、3000m以上1、2、3、6、4着。とくに58kgの春の天皇賞3、4着は、このメンバーなら強気になれる。勝ちみには遅いものの、流れに乗ってスタミナ温存の折り合いは、O.ペリエ騎手のもっとも得意とするところだ。まだ上昇の見込める4歳トウカイトリックと、もう3年前の勝ち馬だけに上昇はあやしいが、追い切りの動きがやけに渋く闘志を示したチャクラ。この2頭を本線にする。
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柏木集保
1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。