デルマー競馬場ポリトラック導入決定

2006年12月26日(火) 23:52

 アメリカ西海岸における夏競馬のメインステージとなるデルマーが、ポリトラックの導入を決定。年明けの1月から本格的な工事に着手し、07年7月下旬にスタートする開催から、オールウェザートラックでの競馬がスタートすることになった。

 デルマーは、「ターフ・ミーツ・ザ・サーフ」のキャッチフレーズにあるように、太平洋の海原に面したリゾート地の競馬場である。それだけに、人工素材の敷設にともなう排水処理をどうするかなど、周辺地域に対する環境問題のクリアが大きなファクターとなっていたが、このほど、海浜地区の土地や水の使用に関する監督を行っている「コースタル・コミッション」の承認を得ることができ、この問題が解決。競馬場の所有者も、地方自治体のデルマー市も、導入を全面的にサポートする立場をとっており、正式なゴーサインが出されることになったものだ。

 注目されるのは、現在のところ4種類が実用化されているオールウェザー用の人工素材の中から、「ポリトラック」が採用されたことである。カリフォルニアでいち早くこの10月から導入したハリウッドパークが「クッショントラック」で、07年夏からの導入をひと足先に決定したゴールデンゲートが「タペタ・フッティングス」だから、カリフォルニアの3場はそれぞれ異なる路面素材を選択したことになるのである。

 各競馬場とも、それぞれが位置する地域の気候に最も適した素材の選択を心がけていることは、言うまでもないが、こうなると次なる注目は、07年9月末スタートの開催からオールウェザー導入を決めている、カリフォルニア最大のトラック・サンタアニタが、どの素材を選ぶかである。同じカリフォルニアでも、サンタアニタの気候条件は、デルマーよりもかなり厳しい。内陸部にあって、サンガブリエル山脈からの吹き下ろしがあるから、冬には霜が降りることもあるほど冷え込む朝がある。これを過ぎると、春3月頃には毎年多量の降雨があるので、これにも対応できなければならない。そしてもちろんカリフォルニアだから、夏の最高気温は華氏100度(摂氏37.7度)を超える日が珍しくないのだ。

 こうして見ると、サンタアニタの気候は日本とも似ており、そういう意味でもサンタアニタがどの素材を選ぶかにはおおいに注目したいところだ。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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