2007年01月01日(月) 00:00
競馬の1年はあっという間に過ぎ、ただ時の流れの速さに驚くばかり。ディープインパクトが蘇る日が来るのだろうか、しばらくは記憶の中を駆けめぐるだけです。
そうした折、次なる小さな芽吹きを見るように登場した弟ニュービギニング。この馬名が、今の状況にぴったりというのも面白く、この思いがどう広がりを見せていくのか、競馬には、たくまざる話題が登場するものです。しばらくは、多くの頭の中にニュービギニングは有り続けていくことになりました。
次なるスター誕生までのショートリリーフなのか、それとも、時代の継承者たる存在に成長していくのか、兄ディープインパクトがひとつのテーマを私たちに遺してくれたようにも思います。
一頭のスターが去ったということは、ひとつの時代が終わったのだと競馬では言ってきました。その度に、きちんと次の時代が訪れています。これは確実にです。
なのに悲観的にしかこういう事態を捉えない声も、必ずあります。これも事実です。
追憶にひたるという人間の性が、未練ごころを生むのだと解釈していますが、こういう心の成り行きは、悲観という道すじを進むしかなくなるのでしょう。しかし、これもほんの一時のこと、いつも。ここで競馬を終わりにする人は少なく、次なるターゲットを探し始め、それが見つからなくても諦めることはありません。
かくして、競馬は永遠に不滅なのです。ひとつのルールの上に成り立っているのですから、タイトル馬が生まれないことはなく、たとえそれがめまぐるしくても、その瞬間瞬間を楽しんでいけます。じっとスター馬を夢見る日々を送りながらも、純粋さを失うことはなく、男なら、少年の、女なら少女の心をいつまでもどこかに持ち続けているのです。
競馬の存在価値は、案外そんなところにあると、今は思ってます。
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。