2007年01月16日(火) 23:52
先週のコラムで、北米古馬ダート戦線の主役たちの近況を御紹介したが、5月5日にチャーチルダウンズで行われるケンタッキーダービーを目指す3歳馬たちの戦線も、全米各地で活発な動きを見せ始めている。
今季緒戦の照準を、2月3日にガルフストリームパークで行われるホーリーブルS(G3、8F)に合わせて調整されているのが、ウィン・ラスヴェガスのフューチャーブック(前売り)で8倍(1月10日現在)の1番人気に推されている、ノービズライクショウビズ(父アルバートザグレート)だ。
03年のケンタッキーダービー馬ファニーサイドを手掛けたバークレイ・タッグ調教師が管理するノービズライクショウビズは、2歳時の成績が3戦2勝。9月9日にベルモントパークのメイドンでデビュー勝ちした後、いきなり挑んだG1シャンパンSは2着に敗れたが、11月25日にアケダクトで行われたレムゼンS(G2,9F)を6馬身半差で制して、重賞初制覇を果たした馬である。1月13日にガルフストリームパークで5F=58秒6という猛稽古を消化し、着々と3歳緒戦への臨戦態勢を整えている。
一方、大目標はまだ先として、1月半ばまではゆったりとした調整に終始しているのが、ウィン・ラスヴェガスのフューチャーブックで11倍の2番人気に推されている、ティズワンダフル(父ティッズナウ)だ。06年のファシグティプトン・コールダー2歳トレーニングセールで、2F=20秒6という、2回目の公開調教では2Fの最速となる猛時計をマークして、47万5000ドルで購買されたティズワンダフル。9月2日にサラトガのメイドンでデビューして、ここを12馬身半差で圧勝。続くチャーチルダウンズのG3イロコイSも6.3/4馬身差で制して重賞初制覇。11月25日に同じくチャーチルダウンズで行われたG2ケンタッキージョッキークラブSも制して3連勝と、期待にたがわぬ活躍を見せている馬である。3歳緒戦については、1月下旬に本格的な調教が再開されて以降に検討される予定だ。
同様に、フロリダのパームメドウズでのんびりと調整されているのが、昨年のBCジュヴェナイルを10馬身差でぶっちぎったストリートセンス(父ストリートクライ)だ。管理するカール・ナフツガー師によると、ケンタッキーダービー直前のプレップレースは4月14日にキーンランドで行われるブルーグラスSと決めているものの、そこに至る過程は現段階では未定とのこと。3月31日のフロリダダービーを使うのか、あるいは、フロリダダービーのプレップレースから使うのか等は、今後の馬の状態によって決まっていくことになるようだ。ウィン・ラスヴェガスのフューチャーブックは、ストリートセンスを13倍の3番人気にしている。
ゆっくりと調整されている実績馬を尻目に、冬場に評価が急上昇したのが、1月13日にフェアグラウンズで行われたラコンテSを制して、デビューからの成績を4戦4勝としたハードスパン(父ダンジグ)だ。まだ強い相手とは戦っていないが、10月22日のデビュー以来、いずれも2着馬に5馬身以上の差をつける楽勝続きで、「ダンジグ最後の大物か」と言われている馬である。次走、3月10日に行われるG2ルイジアナダービーが、試金石となりそうだ。
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合田直弘
1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。