混迷が続くスプリント戦線

2007年03月21日(水) 18:30

 レースに抱くイメージと馬とがなかなかしっくりこない高松宮記念。スプリント戦は新陳代謝が激しく、次から次と新星誕生が見られるものだが、その陣営の頂上戦は、チャンピオン決定戦にふさわしい雰囲気があっていい。それがこのところ、このGI戦の行方はあまりにも様々だ。混迷が続くスプリント界と衆目一致する。

 もうひとつのGI戦スプリンターズSのここ2年の勝ち馬が、サイレントウィットネスとテイクオーバーターゲットと外国馬であったことは、その混迷ぶりの象徴で、それに呼応するように高松宮記念の勝ち馬は、アドマイヤマックス、オレハマッテルゼとスプリントのスペシャリストとは言いにくい馬だった。

 この傾向は、今年も続く。新たに有力馬として名を連ねる馬たちは、これまでスプリントGI戦に出走したことがない。

 既存勢力が、この流れにストップをかけることができるかどうか。とにかく枠順を見るまでは検討に入ってはいけない気がする。狙いは外枠、と漠然と考えているだけで、馬場状態が例年どおりなら、これを先ず第一に取り上げることになるだろう。

 この高松宮記念は別として、桜花賞も皐月賞も前哨戦を終えて一応の考え方はできる。今年は、どちらも基準となる馬がはっきり見えていて、一部対決というムードはあっても、基準から外れる別線からの登場はないという見方になりそうだ。下馬評がそのまま結果に結びつく筈はないが、取り組む姿勢が見えている方が、こういうクラシックレースは盛り上がると思う。

 この先に、オークス、ダービーがあるのだから、ただ、それぞれのレース結果を吟味すればいい。しかし、その他のGI戦は、そうはいきそうになく、相変わらずの混迷ぶりと言っていい。決断を下す瞬間、その時を楽しみにしたい。だから競馬が面白いと思う仲間がどれだけいるか、その底力が見える時だ。

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長岡一也

ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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