2007年05月01日(火) 23:50 0
今週末に開催が迫った英国2000ギニーと1000ギニーの展望をお届けしたい。
まず、5日(土曜日)に行われる牡馬の2000ギニー。4月30日に締め切られた5日前登録で、30頭がエントリーを済ませている。各社ブックメーカーが揃って1番人気に推しているのが、2歳時5戦5勝の負け知らずで欧州2歳チャンピオンとなったテオフィロ(父ガリレオ)だ。大きな着差をつけて派手な勝ち方をする馬ではないが、見ていて安心出来る大人のレース振りで連勝を重ねたこの馬。血統的にはセントレジャーでも大丈夫という素材で、70年のニジンスキー以来となる3冠を期待する声も上がっている。
4月半ばに一頓挫あって、1週間ほど常足とプールのみの調教となるというアクシデントがあって心配されたが、本番2週間前には通常のメニューに戻っており、ブックメーカー各社も力を出せる状態と判断したようだ。
各社2番人気が、4月19日に本番と同コース・同距離で行われた前哨戦G3クレイヴンS勝ち馬アダージオ(父グランドロッジ)。筆者もこのレースは現場で見たが、実に印象的な勝ちっぷりだった。
そして各社3番人気が、4月30日の段階で2万5千ポンドの追加登録料を払ってエントリーしてきた、フランス調教馬のユーエスレンジャー(父ダンジグ)。2歳時、ボルドーのメイドンとトゥールーズの一般戦を連勝した段階で、マイケル・テイバー氏がトレードで獲得。続くトゥールーズの一般戦も快勝して2歳シーズンを終えると、4月10日にメゾンラフィットで行われた仏2000ギニーへ向けた前哨戦のLRジェベル賞で今季初登場。ここで初めて骨っぽい相手と戦い、あっさりと4馬身差で快勝。イギリスのクラシックへ挑むことになった。
続いて、6日(日曜日)に行われる牝馬の1000ギニー。こちらは、4月30日の段階で25頭がエントリーした。
ブックメーカー各社が1番人気に掲げているのが、フィンスケールビオ(父ミスターグリーリー)。2歳時終盤、G1マルセルブーサック賞、G2ロックフェルSと良い競馬っぷりで連勝し、ヨーロピアン・クラシフィケーションでも2歳牝馬首位のレイティングを獲得した馬である。前哨戦を使わず、今季緒戦が1000ギニーとなるが、過去10年の1000ギニー勝ち馬のうち半数の5頭はこのパターンだ。
ブックメーカー各社2番人気が、サンダーカミーロ(父デキシーユニオン)。2歳7月にニューマーケット・ジュライ開催のG2チェリーヒントンSを5馬身差で圧勝して評判になり、シーズンオフの間にはフィンスケールビオと同等の評価を受けていた馬だったが、今季緒戦のG3ネルグウィンS(4月18日、ニューマーケット)で2着と敗れて、若干評価を落とした経緯がある。ネルグウィンで見せた反応の鈍さは、確かに久々を感じさせるもので、ひと叩きされた本番では本来の切れを取り戻すことが期待されている。
各社3番人気が、4月19日にニューマーケットのメイドン(7F)で初勝利を挙げたばかりのヤキーン(父グリーンデザート)。2歳6月にニューマーケットのメイドン(6F)でデビューし3着となった後、脚元に不安が出て休養に入り、4月19日のレースはほぼ10か月振りの実戦だった。ヨーロピアンタイプのクラッシーな馬体の持ち主で、やや焦れ込むクセがあるのが気がかりだが、大仕事をやってのけるだけの資質を感じさせる逸材である。
なお、ブックメーカー各社はいずれも、2000ギニーで20倍以下のオッズに8頭前後、1000ギニーで20倍以下のオッズに9頭前後の馬名を並べて単勝馬券を売っているが、この中にクールモア所属馬もゴドルフィン所属馬もいないという、近年とはおおいに異なる勢力分布のギニー戦線となっている。
合田直弘
1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。