確実に日本の馬は強くなっている

2007年06月06日(水) 19:50

 日本のエース、そう呼ぶにふさわしいダイワメジャーの優勝だった。異口同音に、さらに進化したのではないか。その強さは圧巻だった。東京競馬場は、真の底力が発揮されるコース、ここで勝ってこそチャンピオンと思ってきた。ひと頃、スローペース症候群に陥ってどのGI戦も直線に入ってからのヨーイドンの競馬が目についていたが、少なくとも、この春の東京のGI戦は、緩みのない厳しいレースばかりだった。恵まれた勝利、そう呼べるものはなく、走破タイムを見ても、実に立派だったと思う。

 多くの馬が、ここ一番で自己ベストの戦いをし、能力を十二分に発揮したと言っていいだろう。この春の印象としては、誰しもが荒れた、手に負えないレースが多かったと思っているだろうが、果たして、それだけで片づけていいのか。少し疑問に思っている。

 チャンピオンコースで、自己のベストタイムで走った末の勝利、そうであるならば、その持てる力がそれだけあったのだと考えざるを得ない。その潜在能力を見抜けなかったことを認めるべきだろう。

 それともう一点、多くの馬が自己ベストのタイムで走ったということは、それだけ、日本の馬のレベルが高くなったとは言えないだろうか。1頭、2頭がとび抜けて速いレースをしたのではないということ、これは検証すべきことだと思う。

 全体に時計が速いと、これまでは馬場と結びつけて判断してきたが、騎手の言葉からは硬いというよりクッションが効いていい状態ということだから、この速さは馬の力からくるものと考えたい。確実に、日本の馬は強くなっている、それが国内の競馬でも感じられた春だったと、そろそろ、そんな言い方をしていきたい衝動にかられている。それを見抜けない眼がいけないのだ、そう言うことで、チャンピオンになった馬たちを大いに称えたいと思っている。

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長岡一也

ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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