中国を知る為に実感させられたこと

2007年07月25日(水) 14:50

 先日、北京に行って来た。現在理事長を務める日中放送人懇話会の設立30周年にあたり、交流を続けてきた中国国際広播電台(北京放送)日本語部を訪問するためだ。

 先方のスタッフは、制作部員もアナウンサーも全て日本語は堪能で、訪中団の面々は十二分に交流の実をあげることができた。

 北京放送は、今では40か国以上の言語で放送している短波放送だが、ルーツを辿れば、1941年の日本語放送に行き着く。副局長の挨拶の中でもそのことに触れていて、日本語放送が常にリーダーシップを取っていると語っていた。国務院直属の国家機関だから、その時代時代によって役割は変化していったが、現在は、インターネット放送、ホームページ、国内向けFM放送など様々なメディアを駆使して活動している。中国を広く世界中に紹介し、また世界各国との理解を深める友好の掛橋となるための放送を続けているが、同じ放送人として、果たすべき役割は共通している。

 北京は、来年8月8日に開幕するオリンピックの準備に大わらわで、町中が建設ラッシュ。いたるところで道路拡張工事が行われ、郊外に車を走らせると、新しいオリンピック施設が姿を現していた。メインスタンドは工事中だったが、メタリックな造型が完成時にはどうなっているのか。

 北京放送のスタッフは、どうオリンピックに取り組むのか。東京オリンピックの経験談を聞かせてほしいと熱心で、交歓会の席上の挨拶の中で話を始めると、若手制作スタッフの一人が駆け寄ってきて、カセット録音を始めていた。自国で行うオリンピック、かつての自分がそうであったように、とにかくみんなが張り切っている。

 閑話休題、中国でも競馬を始めるという話は、かなり前からあった。ところが、今はちょっと下火だ。馬業協会や乗馬団体関係者の中には、かなり積極的な方もいらしたが、オリンピックを目前に、ひと休みといったところ。1990年代に広州などで競馬が行われた際にあった不祥事が尾を引き、競馬は人心を乱すという根強い思いを抱いている者が多いし、賭博は禁止されているので、法の整備という問題もある。国のトップの判断がどう下るか、まだまだ先という印象だった。

 取り敢えずは、香港の競馬をどう国家として消化していくか、その辺に上層部の思いはあるようで、ひとつの国家、ふたつの体制はくずれそうにもない。

 日本の競馬の仕組に関しての理解は深まっているので、様々な要因が大きくまとまって来たときに、一気にという感じがしている。

 凄まじい発展を遂げ、随所で未だ進行中という現実を目の当たりにして、広大な国土をまとめることの大変さを感じるばかり。この国を知るには、とにかく見聞を広めることが第一。その為の人的交流は欠かせないと実感させられた。

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長岡一也

ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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