2007年08月08日(水) 16:50
様々な戦いが繰り広げられている。夏の重賞は、特に、実績馬対上がり馬という構図で捉える習慣があるが、そこにはいつも、穴馬の可能性を強く求める思いが潜んでいる。
カンパニーが関屋記念を勝ったとき、重賞を2勝している実績を一番人気にした世論の勝利と思う一方で、音無調教師の顔が頭に浮かんできた。アイビスサマーダッシュをサンアディユで勝ったシーンとともに。
それまでダートの短距離で5勝はしていても、芝が全く初めてのサンアディユの勝利は、ここに駒を進めた陣営の勝利と評価されるものだった。全6勝のうち4勝が久々のレースでのもので、名うての鉄砲巧者。この馬に限らず、ダメージが大きくならないうちにリフレッシュ放牧させるという音無流は、とにかく成功している。さらには、厩舎に戻す時機の絶妙さ。恐らく、みんなが納得できるだけの調整期間が取れているのだと思う。
カンパニーについては、去年の秋の天皇賞以来9か月ぶりというところがひっかかっていた。京阪杯と大阪杯を勝ってはいても、昨年ゲートのアクシデントで外枠に入れられ大敗した秋の天皇賞に再び出るには、どうしてもどこかで勝っておかねばならない。
カンパニーの父は、ミラクルアドマイヤ。トニービンとバレークイーンの間に生まれ、良血が買われて3戦1勝ながら種牡馬になったという、限りなく可能性を秘めた馬で、フサイチコンコルド、ボーンキングの兄弟馬という魅力も忘れられない。カンパニーのテーマは、父と同じ可能性。関屋記念は、初めての新潟コースではあったが、むしろ、新潟コースだからの可能性が大きかったという結果だった。
音無調教師のサンアディユとカンパニーの勝利は、レースでの立場は正反対であったとはいえ、それぞれの空白期間に潜んでいた可能性を追うというテーマには、見事に応えていた。
バックナンバーを見る
このコラムをお気に入り登録する
お気に入り登録済み
お気に入りコラム登録完了
長岡一也「競馬白書」をお気に入り登録しました。
戻る
※コラム公開をいち早くお知らせします。※マイページ、メール、プッシュに対応。
長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。