2007年08月29日(水) 23:50
不本意、この言葉を噛み締めているものは多い。凱旋門賞を目指していたメイショウサムソンは、その最たるものだろう。ウオッカともども、実に残念でならない。
馬インフルエンザが発生して、予定が狂ったものは、実に多い。
競馬会、馬主、騎手、調教師、これらは当然としても、競馬サークルにあって仕事をしている放送、新聞の受けた影響も、少なからずだ。そして、この周辺で働いているものも、慌ただしい思いをした。
そしてさらには、競馬場やウインズに足を運ぶもの、週末の競馬を楽しんできたファンにも戸惑いが広がっていた。ローカル開催中は、旅行と競馬を結びつけて予定を立てているものも多く、中止になれば各方面への影響は当然出てくる。キャンセルに泣くホテル、鉄道。人出を見込んでいた繁華街等々。仕方がないとは言っても、やるせない思いは残る。こうした様々な不本意を乗り越えて、とにもかくにも競馬は再開した。見込み発車の誹りはあっても、やるという判断は、いつか誰かがしなければならない。その時機がいまだったということなのである。あとは、一日も早い完全収束を祈るばかりだ。
誰の立場に立っているのでもない。誰かの立場に立ってものを述べても当たらない。大きく目を見開いて、それぞれの思いの中にある不本意を、乗り越えなければならないのだ。
ただ、最後に残る不本意、それが気になって仕方ない。感染拡大防止のため「馬の移動をJRAの施設間内に限定する」と言う措置が取られたので、目標とするレースを前に放牧に出た馬たちは、そこで足止めされてしまった。2歳Sを取り敢えずの目標にしていた若駒もいた。段階を踏んで出て行こうとしてきた途端の足止め、この不本意は痛い。そして、秋のタイトル戦が迫っている。9月上旬、制限解除は、このときでないと先への影響は広がっていきそうだ。
バックナンバーを見る
このコラムをお気に入り登録する
お気に入り登録済み
お気に入りコラム登録完了
長岡一也「競馬白書」をお気に入り登録しました。
戻る
※コラム公開をいち早くお知らせします。※マイページ、メール、プッシュに対応。
長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。