今週末、ロンシャンで3つの凱旋門賞プレップ

2007年09月11日(火) 23:50

 今週末の日曜日(16日)にフランスで、凱旋門賞と同じコース(ロンシャン)の同じ距離(2400m)を舞台とした重賞が3つ行われる。

 1つは,牝馬によるG1ヴェルメイユ賞。ここでの注目は、仏オークス馬ウェストウィンドと、英オークスで1番人気を裏切り敗れたパッセージオヴタイムの対決だ。

 今年6月10日、フランキー・デトーリを背に、仏オークスで重賞初制覇を飾ったウェストウィンド(牝3歳、父マキャヴェリアン)。その後、6月末にカラで行われた古馬混合のG1プリティポリーSに出て、今をときめくピーピングフォウンの3着という悪くないレースを見せ、仏オークスが決してフロックではないことを証明している。

 一方のパッセージオヴタイム(牝3歳、父ダンシリ)は、2歳秋に行われたG1クリテリウム・ド・サンクルーで、牡馬を破ってG1勝ちし、早くから今年のオークス候補と言われていた馬だ。今季初戦のG3ミュージドラSも勝って1番人気に推された英オークスでは、エプソム特有の起伏をこなせず8着と敗れたが、まだまだ見限るわけにはいかない実力馬である。

 さて、牝馬ながら、牡馬混合のG2フォワ賞に駒を進めるのが、マンデシャ(牝4歳、父デザートスタイル)だ。御存知、3歳だった昨シーズン、アスタルテ賞(1600m)、ヴェルメイユ賞(2400m)、オペラ賞(2000m)と、距離の異なる3つのG1を制した現役最強古馬牝馬である。今季も、春に牡馬に混ざってG1サンクルー大賞2着、前走の牝馬G1ナッソーS・2着と、安定した実力を発揮しているマンデシャ。あくまでもここを凱旋門賞へのプレップと考える陣営が、頭数が多くなりそうなヴェルメイユ賞より、少頭数のG2フォワ賞の方を"適鞍" と考えたわけである。

 凱旋門賞へ向けたブックメーカーの前売りで、オーソライドに次ぐ2番人気に推されているマンデュロ(牡5歳、父モンズン)も、フォワ賞に登場する。今季ここまで、いずれも楽勝続きの4戦4勝。イスパーン賞(1850m)、プリンスオヴウェールズS(10f)、ジャックルマロワ賞(1600m)と、向かうところ敵なしでG1・3連勝中の彼だが、2400mの距離を走るのはこれが初めて。凱旋門賞制覇への、試金石となるはずだ。

 3歳限定のG2ニエル賞の中心は、凱旋門賞の前売りで3番人気に支持されているザンベジサン(牡3歳、父ダンシリ)だ。カリッド・アブドゥーラ殿下が生産所有するダンシリ産駒で、春後半のG1パリ大賞典を制した後にひと息入れて、ニエユ賞から本番へというのは、昨年の凱旋門馬レイルリンクと全く同じパターンである。

 ここには、愛ダービーを9馬身差で制したエイダン・オブライエン厩舎のソルジャーオヴフォーチュン(牡3歳、父ガリレオ)や、7月末にドーヴィルの準重賞リッジウェイ賞を制してデビューから3連勝を飾った上がり馬サージュブルグ(牡3歳、父ヨハネスブルグ)らも出走を予定している。

 いずれにしても、凱旋門賞(10月7日)に向けて、目の離せない週末となりそうだ。

バックナンバーを見る

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

新着コラム

コラムを探す