2007年09月18日(火) 23:50
先週日曜日(16日)に、ロンシャンで3つの重賞なプレップレースが行われ、10月7日に行われる凱旋門賞(G1、芝2400m)を目指す有力馬の勢力分布がほぼ固まった。
まずは、前回のこのコラムで展望をお届けした、3つのプレップレースの結果から御紹介しよう。
牝馬のG1ヴェルメイユ賞を制したのは、仏オークスの2着馬ミセスリンゼイ(牝3歳、父シアトリカル)だった。2着が仏オークス馬のウェストウィンド(牝3歳、父マキャヴェリアン)で、3着が英オークス1番人気で8着に敗れたパッセージオブタイム(牝3歳、父ダンシリ)と、上位を3歳勢が占める結果となった。
今年4月のG3ペネロープ賞で重賞初制覇を果たした後、仏オークスでも逃げてあわやのところまで粘ったミセスリンゼイ。前走ドーヴィルのG3ミネルヴ賞では、久々からか折り合いを欠いて暴走気味に逃げ、6着に沈んでいたが、ここでは2番手に控えるスムーズな競馬で快勝した。
ミセスリンゼイには凱旋門賞の登録がなく、このレースをもって今季を終了。現役に留まる見込みの来季に備えるという。一方、2着のウェストウィンドも凱旋門賞の登録はないが、こちらは追加登録を考慮する模様。3着のパッセージオブタイムは、得意の重馬場になれば凱旋門賞参戦もありうるとしながら、同日に行われる牝馬限定のG1オペラ賞か、10月20日に英国で行われる10fのG1チャンピオンS、もしくは、10月27日に行われるBCフィリー&メアターフ出走も視野に入れていると伝えられている。
古馬のG2フォワ賞では、大変なドラマがあった。レースを制したのは、2400mを走るのはこれが初めてだったマンデュロ(牡5歳、父モンズン)。G1・3勝の古馬最強牝馬マンデシャに2馬身半の差をつける完勝で、今季の成績を5戦5勝とし、これで胸を張って凱旋門賞参戦かと思いきや、なんとレース後マンデュロの歩様に異変が発生。検査の結果、右後肢の管骨を骨折していることが判明し、急転直下の現役引退が発表されたのである。
この夏、シェイク・モハメドのダーレーが、推定2300万ユーロ(約37億円)を投じて種牡馬としての権利を獲得しているマンデュロだけに、骨折の報が伝わるや、殿下の要請によって、骨折治療の権威と言われるイアン・ライト獣医が英国から仏国に急行。17日(月曜日)に緊急手術が行われた。経過は良好で、来年春の種付けには支障がないものと伝えられている。
というわけで、有力馬の1頭を欠くことになった凱旋門賞。フォワ賞2着のマンデシャは、予定通り本番に駒を進めてくる予定となっている。
3歳馬によるG2ニエル賞は、愛ダービー馬ソルジャーオブフォーチュン(牡3歳、父ガリレオ)が快勝。2着に重賞未勝利の伏兵サガラ(牡3歳、父サドラーズウェルズ)が入り、凱旋門賞前売り3番人気で、ここも1番人気だったパリ大賞典勝ち馬ザンベジサンは3着に敗れる波乱となった。
勝ったソルジャーオブフォーチュンは、これで凱旋門賞前売りの2番人気に浮上。ここでは期待を裏切ったザンベジサンも、「明らかにひと叩きが必要な状態(パスカル・バリー調教師・談)」だっだだけに、この後は予定通り凱旋門賞へ向かう見込みだ。
大手ブックメーカーの凱旋門賞へ向けたオッズをみると、各社2.5倍前後で英国ダービー馬オーソライズド(牡3歳、父モンジュー)を本命視。2番人気のソルジャーオブフォーチュンのオッズが4倍前後で、続いて愛チャンピオンSで5度目のG1制覇を果たしたディラントーマス(牡4歳、父デインヒル)が5倍から6倍で3番人気となっている。
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合田直弘
1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。