ばんえいナイトレース終了

2007年09月18日(火) 23:49 0

 6月よりスタートした、ばんえい競馬のナイトレースが9月17日に終了した。4月末より開幕した新生ばんえい競馬は、今年度より帯広市の単独開催となり、6月中旬よりばんえい初のナイトレースを開始した。以来、約3か月間で計42日の日程を消化し、期間中の売り上げは36億3181万円、一日平均で8647万円を記録し、日中開催(4月~6月)24日間の平均8198万円を5.5%ほど上回ったという。

ばんえいナイトレース1

 とりわけ順調だったのはインターネットによる売り上げで、日中開催と比較すると、33.2%増の1619万円の実績を残した。期間中、もっとも売り上げが大きかったのは8月19日。中央競馬がインフルエンザによる開催中止となったため、この日は1億4059万円を記録した。

 なお、入場人員は7万9314人。一日平均1888人。ただし、こちらは日中開催時よりも7.5%ほど下回ったという。日中開催の入場人員には多くのファンが殺到した大型連休の数字が加算されているため、こんな結果になったものと思われる。

ばんえいナイトレース2

 総じて、ナイトレース初年度としては、概ね成功と言って良いだろう。コース脇に設置したイルミネーションや場内のビアガーデンなど、話題性はあったと一応の評価ができる。私自身も最終週の16日に観戦してきたが、日が落ちても気候的にはまだ何とか半袖でも過ごせる温度で、もう半月程度はナイトレースが可能だったのではないか、とも感じた。否が応でも、これから先は日中開催に変わって、しばらくは単調な開催日程の連続となる。そして、長くて暗い冬季間に突入する。それを考えると、少しでもナイトレースの期間を延長し、話題づくりに努めたいところ。来年以降の課題として、ぜひ検討していただきたいと思う。

ばんえいナイトレース3

 さて、その「これから」についてだが、3月末のばんえい記念まで、まだ半年も残っている。つまり、これまでは比較的ファンの注目を集めやすい半年間を過ごしてきたわけだが、問題はこれからなのである。戸外で観戦するのが辛くなる11月以降をどう凌ぐかは今後の最大のテーマとなるだろう。

ばんえいナイトレース4

 昨年秋から冬にかけて、ばんえい競馬は存続の危機に直面した。ほとんど99%廃止が決定的なところまで追い詰められていたのが、急転直下、12月中旬に至り、ソフトバンク・プレイヤーズ参入による帯広市の単独開催が決定したのは未だ記憶に新しい。以来、9か月が経過し、ここまで順調に推移してきたとはいえ、とても安心できるレベルにはほど遠い。関係者一丸となった、より一層の集客作戦が求められているのである。

 それに関連して、一つ、気になることがある。去る9月5日付の北海道新聞に掲載された「ばんえい補償金問題、調教師と個別交渉へ」という記事のこと。今年3月末で解散した「北海道市営競馬組合」(旭川・岩見沢・北見・帯広の4市で構成)が、旧ばんえい競馬の廃止に伴う補償金を支払う交渉を、調教師と騎手で作る調騎会を相手に続けていたが、一部の調教師が支払い金額の算定方法に異議を唱え、旭川地裁に調停を申し立てている、というもの。

 そのため調騎会会長の服部善幸氏は先月23日に「事態を収拾できぬ」として辞意を表明したが、慰留され、その後撤回するという一幕もあった。

ばんえいナイトレース5

 補償金の総額は約3億5600万円。調教師38人のうち、12人が配分方法の見直しを主張しているという。外野にいる私などから見たら、何ともやり切れない内紛にしか映らない。総額が決められている以上、後は仲間同士の金の奪い合いである。“命の次に大切なもの”かも知れないが、ここで紛糾してしまっては、外に対しても好印象は与えない。「こんなところで揉めている場合なのか」とやや白けたムードにさえなってしまう。どうか一刻も早く「大人の解決」を願うばかりである。

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田中哲実

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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