世界の名馬分析File.1:Sea the Stars

欧州史上最高の名馬ともいわれるSea the Stars。
僕は自分がリアルタイムで見た馬の中では最高の競走馬だと思っています。
僕はあのFrankelも、少なくとも現時点ではSea the Starsにはまだまだ及ばない、と考えています。
では彼がどのくらい凄かったのか、ラップ上で分析してみたいと思います。

凱旋門賞・後半1200mラップタイム

5f:11.9-11.2-11.2-11.1-11.8(57.1-45.3-34.1)
3f:5.65-5.55-5.55-5.55-5.65-6.15

なんと残り800m付近から700m以上、トップスピードを出し続けています。
オルフェーヴルに関して「全開区間が極めて長い」と評価しましたが、さすがにレベルが違いました。
オルフェーヴルはせいぜい600m程度、さらに言えばトップスピードもSea the Starsが明らかに上。
しかも恐ろしいことに、ラスト200m5.65-6.15のラップダウンは完全に流しているのが原因です。
完歩ラップを取ってみると、全開区間では平均しておよそ0.45秒/完歩だったピッチが、最後数完歩では約0.6秒/完歩まで落ちていました。
ゴール前20mほどは露骨にブレーキを踏みながら入線しています。
本気で走ればラスト1fを11秒台前半でまとめる余力があったことは間違いなかったでしょう。

うーん、ブエナビスタはあの時に凱旋門行かなくて正解だったかも。

この馬の強さはエクリプスSにもよく表れていますね。
あのレースでも先頭に立った途端明らかにスピードを落とし、並ばれてから再加速してねじ伏せています。
完全にレースを理解し、かつ相当な余力を持って勝ち進んでいた証明です。
一度ブレーキを踏んで並ばれたら突き放す、なんて相手を馬鹿にしたようなレースは相当な能力差が無ければ不可能です。
おそらく凱旋門賞でも、仮にConduitなどに追いつかれていたら再び突き放していたでしょう。
実際に余力があったことは明白ですし。

完全に別次元。
能力任せのレースで見た目だけは派手なレースをする馬とは完全に異質。
圧倒的な能力を持っていながらそれを完全に制御し、生かしている。
2009年欧州には競馬に絶対があったと行っても過言ではないでしょう。

まさに"Horse of a lifetime"。次にこれほどの名馬が誕生するのはいつになるのか。
あるいはFrankelは果たして追いつくことが出来るのか。非常に楽しみです。