道営ホッカイドウ競馬、閉幕

2007年11月13日(火) 23:49

 13日(火)、札幌競馬場では、道営ホッカイドウ競馬の最終日を迎えた。4月18日、門別競馬場にて開幕してから約7か月間にわたる本年度の開催がこれにて終了し、また来春4月までの長いシーズンオフへ突入する。

 オーラスの13日は「第50回道営記念」が行なわれた。11月中旬の北海道はもう初冬のたたずまいだが、この日の札幌は晴天に恵まれ小春日和ともいうべき温かさ。前日に降った雨のせいで馬場状態は重だったものの、この時期としてはまずまず絶好の競馬日和となった。

札幌競馬場スタンド正面

 通年開催のばんえいと異なり、平地競馬としては、やはりこの時期までが限界だろう。気温10度は本州人の感覚では「かなりの低温」だが、道産子にとっては、まだそれほど寒いわけではない。とはいえ、競馬場に入ると、圧倒的多数の観客は、暖房の効いた二階席に集中しており、ちょうど日陰になってしまうスタンド正面側にはあまり人影が見られなかった。防寒具なしで戸外で過ごすには、ちょっと辛い気温ということか。

 競馬場では、日高の人々をずいぶん見かけた。最終日とあって、生産馬の応援に駆けつけた人もいれば、“自家用車”が出走する人もいる。予想紙を見ると生産者と馬主が同じ名前になっている馬が多いのも道営競馬の大きな特長で、そこが「馬産地競馬」と称される所以である。

 さて、第50回道営記念。13頭がエントリーし、人気はギルガメッシュに集中していた。前走の9月13日「瑞穂賞」と前々走の8月16日「ブリーダーズゴールドC」(いずれも旭川)を連勝しており、今季6戦5勝。ここでは不動の中心と目された。

道営記念パドック

 続いて2番人気はジンクライシス。前走は10月8日、盛岡に遠征し「南部杯」に出走。ブルーコンコルドの6着に終わったが、復調気配にあるという。午後3時。西日を浴びながら出走各馬13頭がパドックを後にして地下通路に消えた。

 道営記念は長丁場である。距離2485m。内側のダートコースを1周半程度走る。スタートは向こう正面の左側。午後3時20分、レースは予定通りにスタートした。

 ジンクライシスが先手を取り、ギルガメッシュが追う展開のまま、最終4コーナーへ。ジンクライシスの脚色は衰えず、ギルガメッシュの追撃を3馬身差で抑え、見事オーラスの道営記念で今季初勝利を飾った。2着にギルガメッシュ、3着は人気薄のアドマイヤロマネが5馬身差で入線した。

道営記念ゴール前

 ジンクライシスは牡6歳。父Subordination、母デアリングヴァースのアメリカ産馬。道営・堂山厩舎所属。鞍上は宮崎光行騎手。馬主は中村正子氏。

 なお、好天に恵まれた一日だったものの、この日の入場人員は2629人(本場)、売り上げは思ったよりも少なく1億3520万3500円と伸び悩んだ。道営記念1レースでは、4475万9600円。そのうち場外分で3057万900円を占めている。

 因みに10月30日〜11月8日までの札幌開催6日間では、入場人員が概ね1000〜2000人程度だったことからすると、この日はいくぶん多かったともいえるが、しかし、人口180万都市のど真ん中に位置する競馬場であることを考えるといかにも少ない気がする。平日開催の限界なのか、それとも道営競馬そのものが不人気なのか。

サポーターによる口取り

 ジンクライシスの表彰式に先立ち、口取りの記念撮影には多くのサポーターが詰めかけ、優勝馬の手綱を握ってポーズを作っていた。こうした熱心な人々がいる一方で、この日の売り上げに象徴されるように、一般ファンの財布の紐は思った以上に固かったということなのだろう。「せめて2億は売りたい」と関係者の一人が漏らしていたが、前開催の平均よりもやや多い程度では、何とも寂しい。不況のせいばかりとはとても思えないのだが…。

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田中哲実

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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