2008年01月15日(火) 23:50
3月29日に行われる「ドバイワールドC」に、南米の最強馬が参戦を表明。春のダート世界王者決定戦は、例年以上に多才な顔触れで争われることになりそうだ。
今週末には早くも現地ドバイに乗り込むことになったのは、12月15日にアルゼンチンのサンイシドロ競馬場で行われたカルロス・ペレグリーニ大賞(G1、芝2400m)を3馬身差で快勝した、アルゼンチン生まれの6歳牡馬ラテンシーである。(馬齢は南半球基準で表記)
サンイシドロの国際フェスタのメインとして行われるカルロス・ペレグリーニ大賞と言えば、「南米の凱旋門賞」とも呼ばれる、南アメリカの頂点を決するレースだ。これを勝つだけでも大変な価値があるのだが、ラテンシーにとってはこれがなんと7つめのG1制覇。南米における近年の最強馬との呼び声も起きている強豪なのである。
カルロス・ペレグリーニ大賞は芝のレースだが、ラテンシーの7つのG1制覇には、ダートで挙げたものも3つ含まれており、ダートも不安なし。ということで、世界最高賞金レースを懸けてダート2000mで争われる「ドバイワールドC」への参戦を決めたのである。陣営では、3月6日に行われる前哨戦のG2マクトゥーム・チャレンジ・ラウンド3を使うことも考慮しているという。
南米最強馬ラテンシー以外にも、今年のドバイワールドCには、既に各国から続々と強豪が名乗りを挙げている。ダートの本場アメリカからは、昨年のインヴァソールに続く連覇を目論むキアラン・マクラフリンが管理する、ダーハー(牡4歳)が参戦を表明。昨年11月末のG1シガーマイルを含めて目下3連勝中という、現在の北米ダート戦線最大の上がり馬で、2月2日にガルフストリームで行われるG1ドンHを叩いてドバイ遠征の青写真が描かれている。
昨年のG1パシフィッククラシック勝ち馬スチューデントカウンシルも、既にドバイ参戦を決定。ジャパンCダートは砂質が合わずに大敗を喫したが、帰国後も順調に調整されており、2月3日にサンタアニタで行われるG2サンアントニオHを使ってから現地入りの予定だ。
北米勢と言えば、最も注目されるのは昨年のBCクラシック勝ち馬カーリンだが、昨年一杯を休養にあて、年明けからようやく本格的な調教を再開したばかりで、今後の路線についてはまだ白紙の状態である。
一昨年のBCクラシックで3着となった後、サウジアラビアに移籍。昨年のドバイワールドCはサウジ調教馬として2着となったプレザントタップも、昨年のリベンジを期して参戦予定。また、南アフリカ調教馬として昨年のUAEダービーを圧勝したアジアティックボーイも、今年はメインのドバイワールドCに照準を合わせている。
更に、昨年の欧州最強マイラーで、暮れに2000mの香港Cを制したラモンティが、地元ゴドルフィン勢を代表して出走してくると言われている。
もちろん、こうした各国の強豪の一角には、日本代表のヴァーミリアン、あるいは、ドバイデューティフリーと両睨みのダイワスカーレットらも存在しているわけだが、いずれにしても容易ならざる敵が待ち構えることになりそうだ。
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合田直弘
1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。