2008年03月04日(火) 23:50
北米における2歳トレーニングセール・サーキットの第2弾となる、「ファシグティプトン・コールダーセール」が、2月26日(火曜日)にフロリダ州のコールダー競馬場で開催された。
市況は、総売上げが前年比19.5%ダウンの3510万ドル、平均価格が前年比2.2%ダウンの344,118ドル、中間価格が前年比8.0%ダウンの230,000ドル、前年40.67%だったバイバックレートが今年は40.35%だった。
今年のコールダーセールは、上場頭数が前年より18%ほど少なかったため、ある程度の売り上げ減少は折り込み済み。中間価格は、歴代レコードだった前年に次ぐ歴代2位で、平均価格も歴代第3位だから、昨今のアメリカにおける一般景気の停滞感を鑑みると、まずまずのマーケットであったというのが、関係者の分析である。
その一方で、2月12日に行われた2歳セールサーキットの緒戦「OBSフェブラリー」が予想外の好結果であったことを考えると、関係者の間で失望感があることも確かだ。市場の中身を分析すると、中間価格帯以下のプレイヤーが明らかに不足しており、一般景気後退の影響は確実に競馬産業にも確実に及んでいると言えそうだ。
最高価格は、上場番号55番に付いた210万ドル。初年度産駒からケンタッキーダービー馬ストリートセンスを出して、今最も“旬”と言われているストリートクライを父にもつ牡馬で、大柄で大物感たっぷりの馬体が厩舎村で評判になっていた馬である。購買したのはシェイク・モハメドの代理人、ジョン・ファーガソン氏だった。
日本人によると見られる購買は7頭。昨年あたりから日本人による競走目的の外国産馬購買が極端に少なくなっているが、この市場から日本にやってくる馬がひと桁というのも、近年にない少なさである。
ただし、日本にやってくる7頭は、いずれ劣らぬ好素材だ。
例えば、上場番号62番の父スカイメサの牡馬は、公開調教で1F=9.8秒という驚異的な1番時計をマークした馬である。
1F=10秒フラットの時計を叩き出した上場番号186番の父スパイツタウンの牡馬や、1F=10.2秒を余裕タップリにマークした上場番号21番の父プラウドシチズンの牡馬、2Fで22.4秒という優秀な時計をマークした上場番号26番の父ホワイホワイホワイの牡馬などとともに、即戦力として期待できる馬たちであろう。
7頭の購買馬には牝馬が3頭いるが、これがいずれも大物感のある馬たちばかりだ。上場番号115番の父アンブライドルズソングの牝馬は、厩舎村で馬っぷりの良さが話題になっていた馬だし、日本向きのシャープさと柔らかさを感じさせる個体が複数見られたヨナグスカ産駒の中でも、馬体の出来が最も良かったのが上場番号206番の牝馬である。更に、上場番号208番の父ケイムホームの牝馬も、1F=10秒フラットをマークし、高い能力の一端を示した馬であった。
いずれも、来日後の動向が注目される馬たちであることは間違いなさそうである。
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合田直弘
1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。