2008年03月11日(火) 23:50
日本に2歳トレーニングセールの概念を持ち込んだ市場であり、今年の3歳世代からもアポロドルチェという重賞勝ち馬が出ている「バレッツ・マーチ2歳トレーニングセール」の今年の開催が、日本時間の明日(13日・木曜日)早朝に迫った。
1月から2月にかけて雨が多かったカリフォルニアだが、4日と10日の公開調教日はいずれも好天気に恵まれ、絶好の馬場コンディションの中で上場馬の追い切りが披露された。
4日に行われた公開調教では、実に10頭が1F=10秒フラットをマークしたが、中でも注目されたのが、上場番号178番の父オリエンテイトの牡馬。もともとキーンランド・セプテンバーセールで18万ドルという高値でピンフックされていた馬で、バランスの良い好馬体が厩舎村で評判になっていた1頭だ。まず間違いなく即戦力として期待できる馬だろう。
同じく4日に1F=10秒フラットを出した、上場番号106番の父カクタスリッジの牡馬も、力強い馬体が際立つ1頭。アメリカ人の好きそうなパワー漲るタイプの個体だけに、相当の値段が付くことが予想される。
4日に2Fでは最速時計となる21.4秒をマークしたのが、上場番号154番の父ライオンハートの牡馬だ。昨年のサラトガ・イヤリングで20万ドルでピンフックされている馬で、後駆の発達した馬体は、いかにもアメリカ産馬らしいパワフルな雰囲気を醸し出している。これも、高値となるのは間違いなさそうだ。
1回めの公開調教日よりはいくらか時計のかかる馬場状態となった10日の公開調教でただ1頭、1F=10秒フラットをマークしたのが、上場番号11番の父フォレストリーの牝馬だ。昨年のサラトガ・イヤリングで24万ドルで購買されている馬で、踏み込みの深い歩様は、牝馬とは思えぬ力強さを見せている。
10日に2Fで最速となる21.4秒をマークした上場番号15番の父オフィサーの牝馬は、4日の1回目の公開調教でも2F=21.8秒を叩き出していた馬。すでに完成されており、今後の成長はあまり期待できないかもしれないが、馬体が柔らかく、即戦力であることは間違い1頭である。
15番同様に、1回目に2F=21.8秒、2回目に2F=21.4秒をマークしたのが、上場番号94番の父フォーマルゴールドの牡馬。力で押し切るタイプで、主戦場はダートになるはずだ。
この他、牡馬で大物候補と言われているのが、上場番号138番の父スパイツタウンの牡馬だ。ゴージャスという形容詞がぴったりする好馬体の持ち主で、母の全姉妹にチャンピオン牝馬アシャドーがいる牝系。間違いなく、高くなるはずである。
上場番号158番の、父ディキシーユニオンの牡馬も、バランスの良い好馬体が評判の1頭。4日に1F=10.4秒、10日に2F=21.8秒と、水準以上の時計を2本揃え、即戦力であることをアピールしたが、馬体を見るとまだまだ成長の余地を残したタイプだ。
牝馬では、上場番号169番の父シルヴァーデピューティーの牝馬も、厩舎村で評判が高い。昨年のキーンランド・セプテンバーで21万ドルでピンフックされた馬で、1回目の公開調教で1F=10.2秒の好時計をマーク。祖母が北米のG1ヴァニティーH勝ち馬と血統も悪くなく、現役馬として将来の繁殖牝馬としても価値が高そうな1頭である。
セールの結果は、日本人購買者の動向とともに、来週のこのコラムでお伝えする予定だ。
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合田直弘
1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。