武豊 76年ぶり日本ダービー無観客も感謝

2020年05月25日(月) 07:04 3 1

 誰かのために勝ちたい――。武豊が76年ぶりの無観客ダービーで競馬を開催できることを感謝するとともに、全力騎乗を誓った。

 ――2月29日に始まった無観客競馬は今も続く。

 「当初はファンのいない競馬場が妙な感じで寂しくもありました。新型コロナウイルスの感染拡大が深刻さを増すにつれ、開催できることへの感謝の気持ちがどんどん大きくなりました。自宅で過ごす皆さんに競馬を楽しんでもらいたいと思っています」

 ――実は無観客最初の週は日本にいなかった。

 「人生初のサウジアラビア遠征でした。僕が無観客競馬を経験するのは2週目から。日曜(3月8日)は弥生賞ディープインパクト記念(G2)でした。騎乗したサトノフラッグは出走馬中、ただ1頭のディープインパクト産駒。まさに父を思わせる勝ち方でした」

 ――過去5勝しているダービー。今年は無観客だ。

 「そういえば…アイネスフウジンが勝って“ナカノコール”が20万人をのみ込んだスタンドに渦巻いたダービー(※注)を僕は経験しています。デビュー4年目でハクタイセイに騎乗。勝った中野栄治騎手がコールを浴びるのを見て、改めていつかダービーを勝ちたいと…。先日、横山典弘騎手と“俺たちは20万人とゼロ人(のダービー)を経験するんだな”と話したばかりです」

 ――ディープインパクト産駒、無敗2冠を狙うコントレイルが待ち構える一戦にサトノフラッグとともに挑む。

 「弥生賞ではサトノフラッグは確かに父を思わせる競馬をしてくれました。ただコントレイルはG1の皐月賞で父をほうふつさせる勝ちっぷり。G1とG2では重みも印象度も違う。あの馬は凄いです」

 ――今年もドラマが待っていそうだ。

 「サトノフラッグを管理する国枝栄先生からこんなことを言われました。“豊、知ってると思うけど俺は牡馬クラシックを勝っていないんだからな。頼むぞ!”。国枝先生のためにも勝ちたい。さらには里見治オーナーにも頂点に立っていただきたい。“選ばれし18頭”といいますよね。出走全馬にドラマがあります。いろいろな人のために勝ちたい…。ダービーはそういう気持ちが強くなるレースなんです」

 ※注 90年ダービーは史上最高の19万6517人が東京競馬場に来場。1番人気はメジロライアン。3番人気アイネスフウジンが逃げ切るとウイニングランの際に「ナカノコール」が巻き起こった。

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