【秋華賞】ヴィブロス冠劇V 姉ヴィルシーナの届かなかった3歳G1タイトル

デイリースポーツ

2016年10月17日(月) 06:01

 鮮やかに差し切るヴィブロス(中央)

秋華賞・G1」(16日、京都)

 最後の1冠を賢妹がつかんだ。3番人気のヴィブロスが、直線で鋭い末脚を発揮して完勝。12年に鼻差敗れた全姉ヴィルシーナの雪辱を果たした。2着は4番人気のパールコード、3着は8番人気のカイザーバルが入った。桜花賞馬で2番人気に推されたジュエラーは4着。1番人気のビッシュは10着に終わった。

 小さな体を躍動させ、大外から豪快に伸びた。樫の女王シンハライトが戦線を離脱し、混戦模様となった牝馬三冠最終章。制したのは、これがG1初挑戦のヴィブロスだ。4年前に鼻差惜敗した全姉ヴィルシーナの無念を晴らす快走で、最後の1冠を力強くもぎ取った。

「思い描いていたレースができましたね」と誇らしげに胸を張った福永は、これで史上6人目となる世代別牝馬限定JRA・G1完全制覇を達成。「何よりも駐立が悪い馬なので、スタートを出てくれたことが大きい。外めのいいポジションを取ることができましたし、直線は、これで負けたら仕方ないという気持ちで追っていた」。道中は中団の9番手。直線でスムーズに進路を外へ向けると末脚をさく裂させ、先に抜け出しを図るパールコードをとらえ切った。

 友道師が「この馬は成長が遅かった」と振り返るように、ここまでの道のりは決して順調ではなかった。春はクラシックとは無縁の存在。夏の段階ではまだ条件馬だ。それが前走の紫苑S2着で出走権を得ると、勢い駆って頂点に立った。「姉で悔しい思いをしましたからね。それだけに最後の1冠を何とか妹で、と思っていました。春に休ませてしっかりと体をつくったのが良かったですね。リベンジできました」と師は歓喜の表情だ。

 僚馬マカヒキのダービー制覇に凱旋門挑戦など、競馬界の話題の中心にいる友道厩舎。新たに誕生したスターホースに、指揮官は「次走は馬の状態を見て考えます。エリザベス女王杯は来年もありますからね。まだまだ体は小さいし、じっくりと育てたい」と成長を待ちわびる。まずは1冠。その進撃はまだ始まったばかりだ。

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