サクセスブロッケンと最後のキス

2021年03月13日(土) 09:48 1 8

サクセスブロッケン誘導馬引退のニュースは何度も既出ですが、
とても素敵な写真がNumberの記事に載っているので投稿いたします 

2020年春、緊急事態宣言が解除されてすぐに行われた無観客の日本ダービー。誘導馬になったサクセスブロッケンはついに“2度目”のダービーの舞台に立つという夢を叶えた。
そして、担当の葛原耕二はホッと胸をなで下ろした。選ばれた18頭の3歳馬たちを安全に本馬場に送り届け、コロナ禍で外出を自粛しているテレビの前のファンたちを勇気づけるという務めを果たすことができたからだ。

2021年2月21日、フェブラリーS当日。サクセスブロッケンは無事に当日の朝を迎えることができた。
ダービーの時と同じように午前中の誘導をこなした。
午前の誘導業務を終え、午後の担当と交代したサクセスブロッケンは、一度乗馬センターに戻り馬房で“その時”を待った。
サクセスブロッケンはフェブラリーSの先導3頭の先頭を進んだ。
いつものように舌を出しながらの彼らしい誘導ではあったが、終始落ち着きを保ち16頭を安全に本馬場まで誘導する仕事を勤め上げた。
競走馬たちが無事に返し馬に向かったあと、整列して地下馬道へと向かった。
途中、サクセスブロッケンの誘導馬引退の場内アナウンスが流れると、葛原は深々と頭を下げ敬礼した。

その後、葛原とサクセスブロッケンは第12レースの誘導も行う芦毛部隊と別れ帰路についた。
乗馬センターへ向かう地下馬道でふたりっきりになると、葛原は相棒に「頑張ったね」と何度も何度も声をかけて愛撫した。
これまでの思いがグッと込み上げてきた。

乗馬センターに戻り燕尾服から着替えた葛原は、いつも通り愛馬の手入れをし、いつも通り接した。
そして甘えてくる愛馬を労うように、葛原はそっとキスをした。

サクセスブロッケンの引退決定後に葛原の異動も決まっていた。
異動先は小倉競馬場。そう、ブロッケンの受け入れ先と同じ九州だ。
3月1日付のため、葛原のほうが先に東京競馬場を去っていた。

3月5日の朝、鹿児島から馬運車が到着した。
長らく住んだ馬房から出て輸送用のプロテクターをつけ身支度を整えた。
サクセスブロッケンは馬運車へと向かった。関係者が見守る中、すんなりと馬運車に乗り込み、葛原のいる九州へと旅立った。



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